味噌のカツオ

無頼の味噌のカツオのレビュー・感想・評価

無頼(2020年製作の映画)
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良かった点もあるにはありましたが、全体的な人間ドラマとしては薄味だったですかね。

まず時間軸として非常に長い物語で。登場人物も多いうえに そこで描かれるエピソードが小さかったり、ぶつ切りの尻切れだったり。
イチイチ感情移入がしきれないままに、チマチマと話が流れていって。なので伝わるものがない。

昭和の出来事が所々にインサートされますが。背骨となるストーリーが弱いので、史実との親和性も得られないというか。

昭和の40~50年代はタマ取っただ取られただ、ヤクザ映画的な見せ場もあるけれど、平成になっていくと そういったやり取りも減り、映画としての見せ場もなくなり。
結果 細々とした生き方の末、ちょっといい話風に着地していくと。そんな感じなんよね。

また“昭和”というものを見せたい割に、言葉の言い回し、ワード、イントネーションが どこか現代のそれになっていたり。木造家屋や昔の車が使用されてはいますが、その背後に 昭和の当時にはなかったような建物が写っていたり。
それも ハマれなかった一因かな。

あとは印象として、松本利夫が“親分”に見えないんですよ。
芝居の上手い下手じゃなくて…存在としての 凄味が感じられない。

ホンモノのそういう人って、何をしていようが「この人は本当にヤバい人だ」って…何かありそうなんだけど。
それこそ昭和のヤクザ映画で経験積んだ人たちが放っている何かを、MATSUさんから感じなかったんだよね。

たとえばずっと髪型がナチュラルだったけど、大事な場面ではオールバックにするとか。
それだけでも違って見えたんじゃないかなと。

その反面、柳ゆり菜は“姉さん”的な、肝の座った雰囲気ありましたね。
あくまで印象論でしかありませんが、そこそこ大事な部分だと思います。
味噌のカツオ

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