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ファーザーのliamのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
3.8

監督は劇作家のフローリアン・ゼレール。本作がデビュー作。主演は「2人のローマ教皇」のアンソニー・ホプキンス、出演は「穢れと祈り」のオリヴィア・コールマン、「プーと大人になった僕」のマーク・ゲイティス、「ブラック・クリスマス」のイモージェン・プーツなど。

ロンドンで独りで暮らす81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、少しずつ記憶が曖昧になってきていたが、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が頼んだ介護人を断る。そんな折、アンが新しい恋人とパリで暮らすと言い出して彼はぼう然とする。だがさらに、アンと結婚して10年になるという見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れたことで、彼の混乱は深まる。

アンソニーが記憶に曖昧になる様を映像として映し出している。観ている側も混乱を誘う内容になっており、時間軸を読み解くのが難しくなっている。
発症した患者さん達は恐らくこういう気持ちになっているのだろう。認知症を疑似体験したような作品になっていて、初めて体験する感覚。
これまで認知症をテーマにした映画は沢山あったが、認知症を疑似体験したような内容になっているのはかなり珍しい。

最終的には自分の娘も忘れて、子供に返ってしまう。私の親族はここまでにはならなかったが、他の家族ではこういう苦しみを抱いていると思うと胸が苦しくなる。

またアンソニーだけではなく、アンの視点でも描かれており介護への苦悩も表されている。
90分程度の尺で、無駄がなく作られている印象。

アンソニー・ホプキンスの演技が素晴らしい。自分の親族もこの様な感じになっていた事を思い出す。

新しい感覚を体験できる映画。
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