りょう

チィファの手紙のりょうのネタバレレビュー・内容・結末

チィファの手紙(2018年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

同監督の『ラストレター』の中国版です。「リメイク」ではなくて、日本版と並行して作られたそうです。

『ラストレター』を少しあっさりさせた感じ . . . とは乱暴ですが、大雑把にはそういう感じがしました。ですが、基本的には同じ物語なのに、違った雰囲気が醸し出されて、これはこれで良いです。

「あっさり」とは . . . 一例を挙げますと、主人公の作家が、元カノの元夫と対決する場面。『ラストレター』では、理不盡な力になすすべのない敗北感が痛いぐらいに表現されていて、観ている自分も傷を負ってしまうような気分でしたが、『チィファの手紙』ではそうなる前にあっさりと次の場面に移行してしまいます。一時が万事、『チィファの手紙』では到るところがカットされているような印象を受けました。(実際短いのかどうかは知りませんが。)

ですので『ラストレター』はもう一度観たいと思うものの、刺さり方が深いので気合を入れる必要があると感じます。『チィファの手紙』は「また見よう」と、もう少し気軽に言えます。

以下は、変な論点です。岩井俊二監督の作品は「少女」が美しいので、僕のようなオジサンが岩井作品が好きだと言うと、どうせ「萌えて」いるんだろうと言われてしまいます。『花とアリス』が大好きだなんて言うと、現実にはどこにもいないような理想的な美少女に萌えているんでしょ、と。

うーーん、そうなのかも知れない、と思う一方で、岩井さんの作品は、懐かしさと憧れとメランコリーに満ちていてそれが好きなんです。自分は少女だったことはないけど、『花とアリス』の鈴木杏さんと蒼井優さんのコミカルなやり取りを観ていると、美しいと思うし、その美しさが懐かしく思える。それは「萌え」なんだろうか . . . そうかも知れないしそうでないかも知れない。

『ラストレター』では、広瀬すずさんと森七菜さんの友情が丁寧に描かれていて、美しかった。でも『チィファの手紙』では、そこがかなり大幅に弱くなっていた気がします。
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