Miri

アシスタントのMiriのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
4.2
2017年のハーヴェイ・ワインスタインの性加害事件をきっかけに起きた#MeToo運動の描いた作品。ジャニー喜多川のときやまさに今話題の松本人志の問題なんかも、1人の極悪卑劣な加害者が原因というのはもちろんだが、組織的・業界全体がそれに加担してしまうようなシステム構造が存在しているのだろうと感じた。『アシスタント』は一番下っ端でただキャリアを築くために必死になっている若い女性アシスタントがその構造に組み込まれいつの間にか、加害側に回ってしまうというディストピアな作品。こういう業界や仕組みの中における弱者が加担せざる負えないような、構造の解体というのはそこから初めていいのかと思うほど難しいがそこが変わらないといけない。
本作は、NYの大手映画プロダクション会社でアシスタントとして働くジェーンの1日を87分で描いている。志高く映画業界に足を踏み入れたはずが、1番乗りにオフィスに行き電気をつけるのから始まり、コピーを取る、会長のスケジュール管理、部屋の清掃などなど。挙句の果てに会長の子供の面倒を見るまで。その1日がとてつもなく長い。
個人的により心がズーンとなったのは、セクハラを訴えに人事部に乗り込んだときの担当者の対応。こうやって握りつぶされてきたんだなと感じ、権力の怖さと横暴さをひたすらに感じた。こういうことで被害者が”自分にも非があったんじゃないか”と思うようにしていて、共犯者が作られ、見て見ぬふりができるシステムが構築されていくんだろうなと感じるシーンだった。
きっとジェーンはあのマフィンを食べたら少し家に帰って仮眠を取ってすぐ事務所に行くんだろうな…
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