MasaichiYaguchi

レリック ー遺物ーのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)
3.5
森に囲まれた家で一人暮らしをする老女エドナが姿を消したとの通報を警察から受け、急遽、実家に駆け付けた娘ケイと孫娘サムは彼女が認知症に苦しんでいた痕跡を発見する。
2人が心配して捜索している或る日、突然エドナが帰宅するが、その様子には違和感があり、まるで見知らぬ誰かに変貌してしまったかのようだった。
ここから一軒家を舞台に、3世代の女性によるソリッドシチュエーションスリラーが、恰も真綿で首を締めるようなタッチで繰り広げられていく。
誰もが老いる、老いれば色々と身体上の問題、足腰、首や肩に痛みがあったり、視力や聴力が落ち、内臓に障害が出たり、外見上ではシワやシミが多くなり、物覚えや理解力が悪くなり、本作のエドナのように認知症を発症したりする。
この老いることによってもたらされるものを、ホラータッチで本作は描いていく。
本作は日系女性監督ナタリー・エリカ・ジェームズのデビュー作だが、監督自身が子ども時代に毎夏を過ごした母親の故郷である日本を久しぶりに訪れた時に、大好きだった祖母が認知症になっていたことに強いショックを受けた経験に着想を得て映画化している。
或る意味、同じく認知症をテーマとした「ファーザー」のホラー版と言えると思うが、「ファーザー」がアンソニー・ホプキンス演じる父親の視点からの物語に対し、本作は3世代の女性という複数の視点からなる物語であること。
物語は進展するに連れてスクリーンに異様さが増していくが、終盤で一気に怒涛の展開に突入する。
「親の因果が子に報う」という点では、「ヘレディタリー/継承」に近いものを感じます。