このレビューはネタバレを含みます
佐々木!佐々木!佐々木!!
これ応援上映やってないんですか?
去年『宮本から君へ』の応援上映に行った時はあまり声を出せなかったけど、この作品なら全力で佐々木コールできる自信ある。てか、した過ぎるので応援上映やってください。
佐々木!佐々木!って言ったら奇妙なキレキレの動きから全裸になるの最高。絶妙にこういうクラスのどうしようもない人気者いそうで笑える。笑えるのに、時に見せる佐々木の憂いを感じさせる顔が辛過ぎて気づいたら泣いている。
なんだこいつ。もう佐々木の虜だ。
この人の事が気になって仕方がなかった。こんなに大好きなキャラクター滅多にいない。佐々木というキャラクターに命を吹き込んだ細川岳が素晴らしい。悲しいから泣くとか、嬉しいから笑うとか、そういうセオリーではない、泣きながら怒ったり、笑いながら悲しんだり、現実味のある芝居を常に見せてくれる。
この作品の素晴らしい役者は彼だけじゃない。萩原みのりも、遊屋慎太郎も、脇を固める俳優たち皆がそこに生きている。全体を通して演技の説得力がとてもある作品だった。
演技はとても良かったし、とてもグッとくる映画であったのは間違いないが、正直全てを肯定したくなる訳ではなかった。あまり好きじゃない最近の邦画でよくある演出も多々あった。
居酒屋で友達と口論になって他の客に八つ当たりするのとか、主人公が悲しみの中走り回ってモノローグを叫ぶのとか、けっこう最近よく見るテンプレートっぽいシーンがあったのはあまり好きではなかった。
でも、ラストのラストで佐々木コールの中、佐々木が霊柩車から素っ裸で駆け出してくるのとか鳥肌立ったし、結果熱くなれたのはとても良かった。
終わり良ければ全て良し。
最近のミニシアター系邦画の良いところと悪いところがどっちもふんだんに盛り込まれていた印象。でも、ラストの疾走感で良いところが悪いところを振り切っていて清々しい鑑賞後感を得られた。