うめ

夜明けのすべてのうめのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2
とても心打つ作品だった。
まず主演の2人がいい。
上白石萌音は正直どうかなと思っていたが、
見事にハマってた。彼女のための役かと思うくらい。
個人的には光石研と渋川清彦が出ている時点で
きっと骨格のしっかりした映画に違いないと
勝手に期待するのだが、案の定今回も期待を裏切らなかった。
加えて久保田磨希も見事にちょうどいい演技。
そして1シーンのみの出演だが
宮川一朗太の医師が抜群にうまい。
実際の精神科医はそう簡単に患者の目を見ない。
柔和に明るく漂うように話す。その感じが実によく出ている。

株価がいくら最高値を更新しようと、
この国は低成長時代に突入し、
未曾有の好景気や繁栄などもう二度と戻ってこない。
下降する社会の狭間で
こうした2人のような生きづらさに苦しむ若者は
今後もっと増える。
そのとき重要なのは「やさしさ」なのだ。
へこたれそうなときや、あきらめかけたとき、
互いに支え合う穏やかで緩やかな、
それでいて決して切れない関係性さえあれば
きっと僕らは生きていける。
この映画は、そのことを静かに強く示唆している。

いますべての国民が見ておくべき
希望の作品である。
うめ

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