天豆てんまめ

なぜ君は総理大臣になれないのかの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

4.2
Netflixでチラッと見始めたら

面白過ぎて止まらなくなった。

ノンフィクション映画の傑作です。

大島新監督は大島渚の次男だとは。。

政治に興味のない全ての人に見て欲しい。

胸熱く揺さぶられた。なぜか少し泣いた。

2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年に渡って追ったドキュメンタリー。

2003年、当時32歳で民主党から衆議院選挙に初出馬した小川は、その時は落選するも、05年の衆議院選挙において比例復活で初当選。09年に政権交代が起こると「日本の政治は変わる」と目を輝かせる。

でも真っ直ぐな信念があろうとも、党利党益に貢献しないと出世はできないのが現実。彼はそこにはとんでもなく疎い。

青臭い正義感ではどうにもならない厚い壁。

敗者復活の比例当選なので党内の発言権も弱く、権力への欲望が足りない小川は、家族からも「政治家に向いていないのでは」と言われてしまう。

17年間の小川の姿を見ていたら

政治家ってなんだろう?

という問いとともに

悔いなき人生ってなんだろう?

という問いかけが心に浮かんだ。


私は慶應の法学部政治学科出身で

共同論文を書いた2人のゼミ友は政治家だ。

でも私は政治に興味がなく、彼らとは

大学卒業してから自然に距離が空いた。

卒業してから20年以上が経ち

ひとりは自民党で今、副大臣。

彼の妻はオリンピック担当大臣。

もうひとりはこの映画の舞台でもある

2017年民進党分裂選挙で無所属落選。

彼のその後はわからない。

Facebookも4年更新がない。

そんな明暗を分けた彼らを

冷めた目で遠目に眺めていた。

なぜ政治家なんてやるんだろうって。

政治という名の権力闘争に

自分の人生も生活も縁がない。

ならば映画を観る方が豊かだ。

そう思って白けて政治を見てきた。

私は今でも政治には興味ない。

でも面白い人間には興味ある。

この映画の主人公。小川淳也。

なんて青臭い政治家の17年間。

彼を支える妻、娘たち、両親の苦労。

選挙中の彼らの姿にも心揺さぶられた。

慶應の井手教授の応援演説は近年稀に見る感動的なスピーチだった。

あくまで愚直で不器用で政治家不向きの

小川淳也という人間に興味がつきない。

これからの彼の姿も見続けたいと思った。

そうしたら少し政治にも興味が湧いた。

友人2人にもいつか話を聞こうと思う。

なぜ君は総理大臣になれないのか、と。