映画漬廃人伊波興一

エルの映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

エル(1952年製作の映画)
4.4
いつものように貌からではなく、肢体から女に魅入られた歪な妄想が何と面白い事か。

ルイス・ブニュエル
「エル」

恋愛においても、友情においても、私たちは、相手が裏切ったように見えるときほど自分が激しく惚れていると感じる瞬間はない、と思う。

そうなれば事実云々ではなく、その影や夢を見ただけでもう動転してしまいます。
もはや相手が呼吸しているというだけで、すでにこちらは裏切られた気がするのです。

そして映画のモラルって奴は、(恋愛)に対してはいつも厳しい試練を与えるのに、七つの大罪のひとつ(嫉妬)に対してはとても慈愛がある。

いつものように貌からではなく肢体から女に魅入られたブニュエルの歪な妄想が何と面白い事か。