エルの作品情報・感想・評価

「エル」に投稿された感想・評価

パー子

パー子の感想・評価

4.5
ブニュエルの代名詞であるようなところのシュルレアリスムとか不条理というのよりは表現主義の範疇にある演出がほとんどの作品だがまあ似たようなもんなのでぜんぜんブニュエルブニュエルしておりブニュエラーとしては見所多し。
特筆すべきはやはり主人公の屋敷内のセットで、窓枠の影による照明演出なども含めて、曲線と斜めの線が画面内を満たす(靴をまっすぐ揃え直したり壁にかかる絵がまっすぐでないとダメなような男の家が、である)ことで屋敷の中が主人公の「中」を可視化、そのサイコパス性を暗示するわけだけど、「いや〜映画ってほんとにいいもんですね〜」という気持ちになる(この「まっすぐ」と「斜め」の画面設計的対立がラストのジグザグ歩きに効いてくるわけですね〜)。
クライマックスの妄想幻覚ジャンプカットも強烈な表現力。
遺作『欲望のあいまいな対象』と同じく、いわゆる(?)フォレストガンプ話法の映画なのだがこの手法が全ての映画の正解なのではと思わせる。三幕目に入ったときにぐっと引き込む力がある。
(フォレストガンプ話法、要はエピソードを人に話すというスタイルで回想に入り、長々続いた回想パートが映画内の現在に追い付いて終了、ストーリーの進行が「ここから現在進行形ですよ」となった瞬間、観客の現在感覚と同期し、未知の結末に向けて時間を共有するかのような錯覚を起こす、的な)
あくまで現代のあくまで自分から見るとの話にはなってしまうのだけど、肝心の主人公のキャラが、こういうゴミクズ束縛支配欲男おるおるーてな感じで胸くそ悪くなるだけで恐怖とかワンダーの感覚とちょっと違うのが微妙に乗れない点。
堊

堊の感想・評価

4.0
階段を降りて振り向いた瞬間に笑い声が聞こえる。いやーーな描写がとにかくイヤーーーな感じ。聴衆の前で……ってモチーフはヒッチコックっぽい。
冒頭が『皆殺しの天使』のラストっぽくてどきりとした。
mirokuma

mirokumaの感想・評価

4.1
文句なく面白かった。とにかくラストでやられる。ブニュエル恐るべし!
これは恋愛映画ではないと思う。
惚れた女に執拗なストーキングをかけ、やっと手に入れたかと思いきや束縛と嫉妬にまみれた夫婦生活を送るという物語に、「恋は盲目」的な可愛げやおかしみが入り込む余地はない。
さんかくの田畑智子みたいな愛おしさは皆無。

オープニング、足を見る主人公の主観ショットですでに彼の「視野の狭さ」を示している。
妻に近づく嫉妬するのも単に自分のステータスの問題で、とにかく周りの目を気にしている。
だからそんな奴に夫婦円満なんて鼻から程遠いものだ。
でもさらにこの映画が気持ち悪いのは、そんな彼を支持する構造が何故か万端に用意されているところ。
途中からもはや妻の身に降りかかる不条理劇に思えてくる。
執事や神父との関係も妙に気持ちが悪い。

ラストシーンもゾッとする。
この歪んだ男を甘やかす狂った構図の行く末は漆黒の闇だ。
冒頭彼は彼女の「脚に惚れる」訳だが本人がその事実に気づかないで彼女を求めてるように見える。
後、夫婦の怖い会話の切り返しが非凡。妻が目を伏せて夫が詰る関係ならまだしも夫に演出されてる照明が尋常じゃないから幽霊に見えるし、ジグザグに歩き、発言がちぐはぐになる辺りもより浮遊霊感が際立つ。
クライマックス手前が堪らなく好きだな。彼は彼女を正しく知らないから
家出された後赤の他人と間違えて殺そうとする。その際彼が人違いをしてたと気づくタイミングがワンカット遅いんだよ!この狂いっぷり!
何が信仰の道じゃ ふらふら歩いて行く先は真っ暗じゃないか
いや、超恐ろしい映画でした
ヤバい奴は時代を超えてヤバい奴として存在するのか。

終盤の教会でのシーン、音の使い方含め良かった。

始めからパラノイアしてた気がするので、また観たい。
グロリアと出会う以前からパラノイアの芽はあった気がする。そう考えると執事パブロの存在感が増してこわい。視点の転換による観客の誘導がスムーズ。
炒飯

炒飯の感想・評価

3.0
このまま男の嫉妬心だけで終わったらかなりつまんねえぞ…という私の心の内をブニュエルは感じ取れなかった模様。だって私はシュルレアリスムを期待していたんだから。いくら嫉妬心を恐ろしく描こうとも失った期待値を回復することもなし。そもそも恐くない。この時代に出来たという意味ではすばらしく、期待しなきゃもっと楽しめたのかも。
Szeus

Szeusの感想・評価

3.5
自分にとって初めてのブニュエル作品。
それなりに面白いっちゃ面白かった。
メンヘラ男の狂気を描いた作品で、今まで恋愛したことのない男が愛する女に嫉妬し、首を絞めようとしたり殺そうとしたりするといった内容。
狂気に襲われた時に目が変わるところや、主人公の心に合わせて幻覚が見えてくるシーンは良かった。
シュールレアリズム系の作品であることを期待してみると期待を外されるかもしれない。
>|