やた

セイント・フランシスのやたのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.7
これこそ女性のエンパワーメント作品!心から観て良かった〜。
30代、独身、仕事、恋、セックス、妊娠、出産、中絶、育児、全てがちゃんと生々しくて全然きれいじゃないからすごく良い。
特に不正出血と尿漏れ、中絶後の経過についてしっかり描かれていて、本人にとってはストレスでしかないものだけど他者とつながるきっかけになってる描き方がとても好きだった。

何かを下げて何かを上げることはしたくないけど、最近観た女性のエンパワーメント映画だ!と高く評価されてた作品が、女性も男性も性別だけでくくって、どちらがすごくてどちらがすごくない、みたいな描き方をしている印象だったので、女性にも男性にも色んな人がいて色んな生き方や考え方があって、寄り添えるところもあればぶつかるところ、理解できないところもあるしだからこそ惹かれ合うところもある、と感じさせてくれたのが本当に良かった!

ブリジットの行動に一瞬「うかつやな〜」「そこまで怒ることないんちゃう?」と感じてしまうシーンがいくつかあったけど、冷静になると「いやでも自分がこの立場なら毅然としていられるか?」「まぁそういう感情になれば勢いでいっちゃうこともあるよな」と共感できるし、「そもそも他人に咎められる理由あるか?」と思い至って、相手の状況なんて知りもしないくせに無意識に呆れたり諭そうとしてしまう自分の悪い癖を思い知らされた。
「自分の考えは世の中が仕掛けた罠かも」という言葉を胸に刻んでおかねば。

でも裸でギター持ってる写真を送ってくる男からはいったん距離置いたほうが良いと思うけどな!

「恋人いる?」「離婚したことある?」とかのフランシスの質問にブリジットが「あなたは?」って聞くのも好きだった。良くも悪くもフランシスを子供扱いしてないからこそ、二人の関係が友情になったんだろうなぁ。

「医者に行けないのはひどいこと」と、最後の「教えるから」というセリフがめちゃくちゃ心に刺さった。
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