ベルベー

まともじゃないのは君も一緒のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

好きな映画!ちょっとズレてる2人のちょっとズレた恋物語。でもそれが可愛い。普通じゃなくても幸せになれるよ、と優しく背中を押してくれるような映画でした。

主演2人がとても良い。自分が映画監督なら、成田凌起用できると嬉しいだろうなと思った。監督の演出意図を理解して表現してくれる感じ。頭が良いかカンが良いかその両方な気がする。イケメンだけどちょっとズレてる予備校教師に実在感を与えてくれる。

独特な喋り方だったりスタイル良いのにダサい絶妙な雰囲気だったり変な笑いのツボだったり変な笑い方だったり。全部ピッタリに仕上げてくれているのですが、特に唸らされたのは終盤、予備校で感情を露わにして清原果耶に怒る場面。単純に、上手いってこういうことだなあと思った。台詞一つ一つが胸に迫ったもん。喋っているだけ、そこにいるだけでこの映画観て良かった!と感じさせてくれる俳優っているけど、今回の成田凌はその域だと思う。

清原果耶も面白くてキュートな爽やかな名演。ちょっと(相当)変な先生にマウントを取ってくるけど、自分も恋愛を知らずモヤモヤ。しかも先生を見ているうちに恋しちゃうというチョロさ笑。ウザ可愛い感じがとっても良い。エナジードリンクで酔っ払う演技も面白い笑。彼女のコメディエンヌとしての可能性を大いに感じた。

泉里香も良かったなあ。彼女と成田凌の関係性の変化があまりにも甘酸っぱくて観ているこっちが恋に落ちそうだった笑。あんなに良い雰囲気だったのにどうして!と思うけど、現実考えるとそうなるのか。切ない。正直ラストまでは成田×泉推しでした笑。でもあの爽やかな終わり方を観ると成田×清原も全然アリだなと思ってしまう…まんまと作り手の掌の上だな、自分笑。

で、そんなチャーミングな女性陣を悩ませる諸悪の根源、クズ、人間の敵!笑を演じるのが小泉孝太郎。絶妙だったな。何が絶妙って、小泉孝太郎がビジュアルと立ち振る舞いはそれっぽいけど内容スカスカなアホ男を上手く演じれば演じるほど、流れ弾を受けた小泉進◯郎の株が下がっていくという←。清原果耶に手を出そうとするところなんて「あー進◯郎最低!ク◯ス◯ルに言いつけてやる!」なんて思ったもん。本人ノリノリでクズ役をエンジョイしているように見えたので、自覚的に悪ノリしてんじゃねえかな?と思う笑。

出番は多くないけど山谷花純と倉悠貴もgood job。彼らの惚気が本作が伝えたいことの本質を突いてるよね。そしてスナックで働いているという情報がああ繋がるとは思わず爆笑した笑。

この4人に集中した物語とはいえ、若干展開もこの4人の周辺に詰めすぎな気もした。小泉孝太郎が淫行クソ野郎なの面白いけど、ちょっとやりすぎかなって気もしたし。あとは成田凌がトントン拍子で「まとも」になろうとするけど、そのきっかけをもう少し見せても良かったのかなと思ったり。「このまま1人で死ぬのかと思うと…」と不安になるに至ったきっかけね。

なんてこともちょっと思いつつ、でも全体的には笑えて微笑ましくもあるラブコメとして大いに満足。前田監督、直近の二作が凄く微妙だったので若干避けてたのだけどこれは良かった。高田亮は「しんちゃん」に続き良い脚本。関口シンゴの遊び心ある音楽も楽しかった。
ベルベー

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