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ペルシャン・レッスン 戦場の教室のmarmoのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ォ………………つらい


大尉が「美しい響きだ」って褒めた言葉の一つ一つが、名もなき人たちの人生の象徴なんだよ …………でもドイツ語以外の言葉を美しいと感じる感性と勤勉さは持っている人で、それでも集団的に人を殺す組織に身を置いている。恐ろしい。

大尉は元は軍人気質じゃない人なのはわかる。だけど自分の生い立ちや自作の詩はジルに聞いてもらうのに、ジルやその他の囚人にも同じようなバックグラウンドがあることを無視していた。どれだけ彼がジルに信頼をおいていても、人間らしさを見せても、ジルからしたらその傲慢さは許せるものじゃないよね。
そこが決定的にすれ違ってて、ジルからの信頼は決して成立しなかったのが悲しいけどよかった。

総力戦や差別のすべてにおいて、「𓏸𓏸人」という言葉はナショナリティ以外の個人のアイデンティティを奪ってしまう力がある気がする。加害者側の△△人と被害者側の𓏸𓏸人、状況が違えば逆の立場になったかもしれないのにね。
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