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ペルシャン・レッスン 戦場の教室のbuddyのレビュー・感想・評価

3.7
《生き延びたいという願いが死よりも苦しい》
「事実に基づいている」という点が非常に興味深い。
従来のホロコーストを描いた作品との違いは、よりスリリングな要素が多く、ナチスドイツを単に悪として描かず、とても人間らしく描いている点だ。彼らの行動は残酷で許されることではないが、その行いが職務的に映し出されている。その象徴的な例がコッホ大尉であり、彼のユダヤ人への接し方が憎悪ではなく、どこか業務的に感じる。加えて、彼の夢が普遍的なものであり、その願いに執着する姿は非常に人間らしい。
しかし、同時に収容所での出来事が彼らの日常となり、ユダヤ人の命に対する盲目性が恐ろしく残酷だ。
そして、生き延びたいという願いが死よりも苦しいものであるかのように、主人公ジルの苦悩や最後の結末に言葉を失う。
「戦争」は善と悪、生と死の境界を曖昧にし、人間を心身ともに破滅させるものだと深く実感させられた作品だった。
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