セリフも字幕もBGMも一切なし。
ただただ動物たちの日常がスクリーンに映し出されるだけ。
物語と台詞と情景でしか映画の良し悪しを決められないような自分でも流石に色々考えてしまった。
映像が垂れ流されている訳ではなく選ばれて繋ぎ合わされている時間と空間。
動物たちの表情やシーンも選ばれたものだとしたらこれはなんなんだろう?なんて。
さらにはこれがフルCGだったらどんな感情を抱くんだろうとも。
とにかく余計な演出が何もないから自分の感性しか頼るものがないんだけど、観終わった結果はひたすら虚しくかった。
悲しいわけでもないし憤るわけでもなくて。
種の繁栄が子孫をより多く残すという点で語られるなら最も繁栄した動物は牛と豚と鶏…なんてこの前読んだ本で語られてたっけ。
そんなに沢山いるはずなのに、パッケージに入った面影すらない食べ物としてしか出会うことのない生き物たち。
our daily bread をみた時も同じような感覚に陥ったけど、なんとも地続きではない生き物と食べ物の関係と、それを生み出した両者の間にあるシステムを思うと、やるせなくなった。
んでもって今、トンカツが出てきても多分嘔吐なんてしないし、食べられてしまう自分も残念な限り。