SABU監督の作品だけに、いろいろ仕掛けもあるのだろうと思っていたが、前半は暗に相違して、微笑ましい高校生の男女交際の物語のようにつくられている。特に主役を演じる男女2人(中川大志と石井杏奈)の会話のシーンが延々続いており、奇妙なイントロはあるが、完璧に目眩しされてしまった。ヒロインの秘密が明らかになってくる中盤から、頭上にUFOが現れたりして、物語は意外な方向へと転がっていく。
前半は高校生の恋愛ドラマ、後半はホラー要素も加わるミステリー、その意外性にすっかり作中に引き込まれていく。このあたりはSABU監督、なかなかの演出巧者だ。そして、最後は物語の大きなフレームも提示され、妙な納得感にも包まれる。原作小説は未読なので、どのあたりの設定までがオリジナルなのかはわからないが、展開に意外性があり、なかなか楽しませてくれる作品ではある。実は、このタイトルにも惹かれて劇場に足を運んだ。
