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みんなのヴァカンスのbennoのレビュー・感想・評価

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)
4.3
観たかった〰︎ギヨーム・ブラック監督作品…。

夏の夜…セーヌ川のほとり…。

フェリックスは出会ったばかりのアルマと恋に落ちますが…翌朝、彼女は家族とヴァカンスへ旅立ってしまいます…。

原題は « A l’abordage »(衝突、移乗攻撃)…つまり、相手の船に接近して無理矢理乗り込んでしまうような攻撃のこと…。

フェリックスは親友のシェリフを誘い、アルマを追って南フランスの田舎町ディーへサプライズの急襲を企てます…原題のように…。

フェリックスとシェリフの黒人青年コンビは、相乗りアプリで知り合った白人青年エドゥアールと彼の車で目的地を目指します。

ただエドゥアールは女性が来るものとばかり…なぜなら…相乗りアプリに普通に黒人としてアカウントを作っていたら誰も乗せてくれないので黒人コンビは女性のフリをして偽垢で登録していたのです…。

…最初から3人の関係はギクシャク…

エドゥアールはママから『子猫ちゃん』と呼ばれラルフローレンやトミーヒルフィガーのポロシャツがお気に入りのお坊ちゃま風…。

フランスのヴァカンス映画と言えば…ロメールを想像しますが、ブラック監督の作品は現代のフランスのリアルな事情に沿ったアップデート版…人種差別だったり、経済的格差をやんわりと盛り込みます。

また、ことごとくハズしてくるオフビート感もユニーク! 水遊びも海ではなく川や市民プール…豪華リゾートとは程遠くキャンプ場でテント…夜はカラオケに興じ、特に哲学的な会話もありません…何より主人公の3人組がとにかく冴えない"負け組トリオ" …そこがなんとも愛おしい…。

フェリックスとアルマ…そしてシェリフにはシングルマザーのエレナと恋愛事情も注目! アルマとエレナ…2人の対照的な女性の描かれ方も面白いです。何よりもエレナの赤ちゃんニナがとにかく可愛い〰︎!! (監督さんの愛娘)…。

また恋愛よりも今作の一番の見どころはブロマンスの描写の巧妙さ…シェリフとエドゥアールが旅行を通じて仲良くなっていく様子はニヤニヤしてしまいます。テント内での会話は可笑しくて最高! フェリックスとエドゥアールも徐々に距離を縮めていきます。

特に大事件が起こることもなく…ヴァカンスの間の若者たちの他愛のないあれやこれやの出来事…。
後半のたかがカラオケにもジ〰︎ンときてしまいます。

そして夏が終わるほんの手前で…
  余韻を感じられる素敵なエンディング…。
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