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瞽女 GOZEのfaeriefilmieのネタバレレビュー・内容・結末

瞽女 GOZE(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ハルを瞽女にするため、心を鬼にしてハルを厳しく躾ける母親のトメ。トメが鬼にならなければ、最初の親方であるフジの意地悪に耐えられず、ハルが瞽女になることは挫折していたかもしれない。そしてトメが鬼にならなければ、代わりに鬼になっていたのは爺様だろうとも思う。

後々は厳しい躾や修行にこつこつと耐え忍び乗り越えるハルに骨抜きにされていた爺様だけど、生まれた時はハルのことを忌まわげに扱っていた。爺様が鬼になっていた場合、爺様の人脈をハルに活かしてくれていたかどうかわからない。手引きクニが良くしてくれたり、二番目の親方であるサワに目を掛けられたのも厳しい躾や修行の成果だろうし。

いろんなことを考えると、いろんなことがぜんぶトメが心を鬼にしてハルを厳しく躾けてくれたおかげなのだ。頭ではわかっているのだけど、トメのハルに対する鬼が鬼すぎて目を逸らしたい耳を塞ぎたいシーンがたくさんありました。

だけどトメは鬼になると決めて鬼になった人だけど、いつのまにか心を巣食われて鬼になる人もいる。手引きサヨのあまりにもひどい仕打ちに何が起こっているのか頭も心も追いつかず…。しかしどうせ目が見えないからと言うハルに言語化できないもやもや。だけどサワ親方が、目が見えなくても夢くらい見てもいいんだと、自分が言いたかったことをそのままハルに言ってくれました。それなのに夢を見ることさえ奪われたハルを思うとエンドロールまで心が痛みました。

「旅は、良い人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行」という言葉に共感。旅ではなくても悪い人と同じ時を過ごした日々、なぜわたしがあのような仕打ちを?と腸が煮えくり返る時もある。だけど「修行だった」と思えれば、心が穏やかになる時もあります。しかしまた同じ人と同じ時を過ごしたいかというと、勘弁してくれと思います。

悪い人や修行の中から学ぶことはたくさんあるけど、良い人や祭りの中から学ぶこともたくさんあるので、やっぱり良い人とたくさん歩ける祭りの多い人生がいいな。だからハルも105年の人生のうち半分以上は占い師が言っていた通り、良い人とたくさん歩いた祭りの多い人生だったらいいなと思いました。
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