瞽女 GOZEの作品情報・感想・評価

「瞽女 GOZE」に投稿された感想・評価

koss

kossの感想・評価

3.5
最後の瞽女、小林ハルの一代記。監督瀧澤正治の想いと執念に溢れた作品。演出が少し変わっている。挿話ともいえるエピソードを重ね、その間に長い年月をかけたロケーションの成果となる美しい大自然の風景を挟む。ドラマ性を排したようにも見え、各挿話は論理的な印象になる。最後に渡辺美佐子の老齢のハルを出すなら、渡辺の回想としてつなぐのが常套だろうが、そうせずに、不思議なドキュメンタリー感がある。吉本実憂の演技が良い(歌も三味線も)。ラストのハル本人の瞽女歌、新潟の季節ごとの雄大な大自然の映像は貴重。
amin

aminの感想・評価

2.8

このレビューはネタバレを含みます

題材は良いんだけど、役者の芝居と演出が残念であった。ただ、ラストに小林ハル本人の絶唱が収録されており、これは大迫力で圧巻。
描こうとした題材に興味があって足を運んだが、正直に云ってどこか物足りない作品だった。

中世以降、幼い頃に目が不自由になった者が就く職業といえば、多くは按摩や鍼灸師、さらに家柄がよい者はかつては琵琶法師など楽器奏者になったもので、身分が低いと旅芸人の一座に加わったりもしていたものと思われるけれど、本作は1900年(明治33年)生まれで、最後の長岡瞽女と呼ばれ三味線を弾き、独特の瞽女歌を唄う小林ハルさんを描いた作品。

ちなみに瞽女(ごぜ)は、さらに時代をさかのぼると巫女のように信仰に結びついていて、盲御前(めくらごぜん)と敬意を込めて呼ばれていて、これが変化して瞽女と呼ばれるようになったそうな。

はるか昔から蛭子(水子)など、欠損がある存在は神、または神に近しい存在として崇められる傾向があり、そんな根深い信仰を背景にして、庶民のハレの席で瞽女を呼ぶと福が来るとされ、彼女たちは近隣や彼女たちの存在を知る土地の有力者に乞われては、時には峠を越えて他県にまで足を運んでいた。

気候は時に厳しいものの、描かれる風景は美しくて撮影手法への工夫は感じるが、物語の底が浅くて物足りなかった。序盤、目の見えない子供のために、実母はまだ幼い主人公に厳しくしつけを叩き込むが、そこで実母の葛藤を描きすぎているので、子供がどうして母親はここまで厳しいのかと困惑する気持ちに寄り添えず、後年自らが親方となり、弟子の子供たちに教育をほどこす際に、母親の心情に思い当たるシーンも見え見えすぎて感動できなかった。

また、その時代、その世界ゆえの厳しさやひどい仕打ち等も描かれているが、ただ描いているだけで、その出来事がその後の展開に活きておらず、やや平板でそのくせ凄惨な印象が残り、空虚で後味が悪いことも残念だった。

さらに、主人公を演じた吉本実憂さんは、本当にきれいで好感の持てる方だと思うけれど、瞽女という職業をまっとうする女性としてはやや線が細く可憐すぎてリアリティーを感じられず、より芯が強く見えて、個性が強い女優の方がこの役柄に合っているように思えた。

たまたま翌日、1980年代序盤に一世を風靡したドラマの「おしん」の総集編を観たのだが、「瞽女」とほぼ同時代の女性の生涯を描いた作品として、エピソード、時代考証、人物の描き込み、全てにおいて40年近く前のテレビドラマの方がよくできていた。やはり、当時は明治、大正を生きた方がまだまだ多く生きておられて、直接取材ができたことや、脚本家が昔の風情を体感していたことがアドバンテージになっていて致し方ないとは思うものの、個人的に興味と期待があった題材だっただけに残念で、段々と幕末や明治の物語は遠去かり、描くことが難しくなってきたことを痛感させられた。
今で言うなら児童虐待、障害者差別、いじめ、、、などなど諸悪が詰まった作品

とにかく泣けた

盲目のハンデを背負い、差別を受けながらも、明るく健気に生きていく主人公の生き様にとにかく涙が止まらない

最後の瞽女さん 小林ハルの物語
何故にこんなに前向きに優しく生きれるのか、、
前を向いて生きよう!
Hy

Hyの感想・評価

3.5
瞽女という職業を初めて知った
ハルさんと言う日本最後の瞽女さんの半生、時折り映し出される風景の美しさには目を見張るものがあったのだけれど、映画としての完成度にやや不満。暗転にフェードアウトする手法に終始違和感を感じてしまった。

但し、最後のご本人登場は圧巻にして、素晴らしい!

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ…主人公・ハルは生後3ヶ月で視力を失う。母・トメは、占師のお告げで『ハルを瞽女にすること』『盲目のハルが一人で生きていける様に厳しく躾ける為に"鬼"になること』を勧められる→ハル2歳の時、父他界→6歳で瞽女のフジ親方への弟子入りが内定。一人で生きて行ける様にするため、トメの『鬼の躾』が始まる。針に糸を通す練習などを経て『体全体で感じ取る』コトを学ぶ→近所の子供達との触れ合い、フジ親方からの厳しい課題など経験した後、7歳でフジ親方に弟子入り→8歳で初巡業。その年、トメ他界。しかし、実母の死にも涙を流すコトは無し。母が『鬼』としか思えなかった模様→意地悪なフジ親方から、瞽女としての技術・振る舞いを学ぶ→15歳でフジ親方から暇を出される→サワ親方からのスカウトを受け、弟子入り→サワ親方から『瞽女の心』を学び、その優しさに母性を感じる→18歳。体調を崩したサワ親方に代わり、手引きのサヨと巡業へ。嫉妬から暴力を振るうサヨ。大怪我を負わされ、子供の産めない体になってしまう→サヨはクビ。新たな手引きの妹弟子や、幼い妹弟子・ハナヨと巡業へ→巡業先でサワ親方危篤の報せ。急ぎ帰郷→ハルに三味線を託し、サワ親方他界。ハル、親方になる→ハナヨを一人前にする為、かつてトメにされたように厳しく躾ける。しかし、ハナヨの『親方は鬼だ』の言葉に、ハル自身とトメの関係を思い出す。『母は鬼じゃなかった。優しさ故の厳しさだったんだ』と気付き、涙を流す→3人で巡業を続けるハル親方一行→→→エンドロール前、『瞽女について』『ハルのその後』の説明が入る。小林ハル本人の演奏・歌唱が流れ、エンディング。




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瞽女…三味線を弾き、歌をうたって渡世する盲目の女性芸能者。



『瞽女』と言う存在を知るコトが出来た作品。

エンドロール前で『福祉制度の礎を築いた存在』と説明されてた。
障碍を抱えた存在でありながら、自分にできる範囲、得意分野を活かして自活する…なるほど、『障碍者の自立』である。
更に、情報システムが発達していなかった時代において、各地を歩き回って得た情報を他の地域の人に伝える『情報屋』の役割を果たしていたとなると、その存在価値は益々高まる。
もっとも、現代に於いては、もっと違った形で社会に貢献するコトも可能だけど。


時代背景上、やむを得ないとは言え、現代の価値観からすると酷すぎる扱いを受け続けるハルの姿、瞽女の置かれた状況が見ていて辛い。
眼が見えないと判ると『よそ様に知れたら祟られてると思われるから、家から出すな』とか、『瞽女は男と交わってはならない。掟を破ったら、組織の中に居られなくなる』とか。

それと比べたら、現代はかなり世の中が良い方に変わって来ているようなので、この作品を観て『不快に感じる部分を反面教師』にすれば良いと思われる。

勿論、母親・トメの姿を見ていて感じる『愛すればこその厳しさ』ってのが有るのも、私としては分かるんだけど…。今の時代では受け入れられないのか?


小林ハルさん本人の晩年の言葉、『次の世では虫になってもいい。明るい目さえもらってこれればそれでいい』は、目の見える私には共感するコトも難しい、とても重い言葉。

これもハルさんご本人の『いい人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行』は、なかなか参考になる言葉。



作品の出来栄えとしては、『連続ドラマのダイジェスト版』みたいな感じを受けた。編集の仕方なのか?

実在の人物を描いた作品だから、これが事実なのだとしたらそれは仕方ないコトなんだけど…『嫌な人物は徹底的に嫌なヤツ』『良い人は徹底的に善人』と、極端な描かれ方なのも気になった。


なんて言うか…ちょっと『もったいない』感じがした作品。


出演者は、さりげなく豪華。
nagaoshan

nagaoshanの感想・評価

4.1
瀧澤正治監督作品!

瞽女さん
三味線を奏語り物を歌いながら各地を旅して歩く盲目の女旅芸人。
三味線を弾きながら唄うというより語りながらを聞かせる感じですね(^^)

生後3ヶ月で失明したハル
2歳で父を亡くし7歳でハルの身を案じた心優しい母は瞽女になるしか生きる術がないと心を鬼にしてハルを厳しく躾けていく!
マスクがびっしょり濡れる程泣けてしまった(T . T)

『奇跡の人』のヘレン・ケラーとサリバン先生を思い出します壮絶な躾!躾!躾!

いい人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行…

師匠との出会い弟子との出逢い。
ハルが憎んだ母トメの慈愛の深さ…(T . T)

母トメ役の中島ひろ子さんの母親の苦悩が滲みて素晴らしい。
ハルの子役時代の子も頑張ってます(T . T)

最後の瞽女さんハルの物語。
知っておきたい日本の文化。

良か映画!
jam

jamの感想・評価

-
瞽女さんは歩くもの
うれしいこんだね

楽しげに歌いながら
山道を歩く

その姿は旅の母娘か姉妹か
けれどよく見れば、彼女たちは前を歩く人の荷に手を触れ、もう一方の手に持った杖で足元を確認しながら歩いていることがわかる

そう、瞽女(ごぜ)さんと呼ばれるこの女性たちは
目が見えないのだ
三味線を奏で、語りものを歌いながら、
山間部の村々をまわる「盲目の女旅芸人」

江戸時代には全国にいたと言う彼女たち
昭和の世には僅かに新潟などに残るのみに
これは新潟、長岡で最後の瞽女と言われる小林ハルさんの物語

幼くして視力を失い、瞽女となる為に
心を鬼にした母より厳しく躾けられ
師事した二人の親方からは
瞽女として強く生きる力と魂を授かる


画面いっぱいの菜の花畑
ハルには見ることが出来ないけれど
花の匂いで花を知り 季節を知り
耳を澄ませて 美しさを感じ取る

耳で鼻で肌で舌で

何でもみえる
…生きてる


ただでさえ、芸事の世界で生きるのは大変なこと
ましてや山間僻地を旅するなど、私たちの想像を絶する苦労を乗り越えて
それでも明るく、訪れた村の人々にハレの日の歓びを伝えて

主人公ハルを演じた川北のんちゃんと吉本美優ちゃんの二人の渾身の演技に思わず涙が溢れる
母と親方のそれぞれの愛に胸を打たれて


新潟出身なのに、瞽女さんのことをひとつも知らなかった
時代を越えて、私たちに真摯に生きる姿勢を教えてくれる


暗闇の世界に居ながら
希望の光に包まれていたハルの言葉

良い人と歩けば祭り
悪い人と歩けば修行


…うれしいこんだね…
存在すら知らず生きてきた
すごい仕事だな
仕事というか生き方だな
「瞽女 GOZE」明治大正昭和平成令和と生きた瞽女さんの生涯は語り継がれるべきだと思いました。 小林ハルさんという瞽女さんの半生が描かれています。瞽女という職業というか、アーティストを初めて知りました。
https://t.co/hC9Fbz3D7h?amp=1
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