ユーライ

大怪獣のあとしまつのユーライのレビュー・感想・評価

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
2.5
誰向けの映画なんだ。これまで特撮とは縁が無かった監督が得意分野であるコメディで挑戦、それなりに期待はさせたが予想以上に明後日の方向で落差が酷い。「空想特撮」に賭けて毒の含んだ風刺劇を期待すると緩さに唖然とさせられ、俳優目当てで観ても中途半端なシモに辟易させられるだけだろう。事あるごとにしょうもないギャグを入れてくるが、まず「怪獣の後始末」状況と大体関係がないし、お出ししてくるのがうんこちんちんなのはマズい。恋愛ドラマを絶対にやるなとまでは言わないが、自称政治劇とどっちつかずで中途半端になるくらいならとことん下世話に振り切ったR15作品にしたほうが良い。あんなに大袈裟に誇張しなくてももっと微妙な加減で笑いは成立する。『シン・ゴジラ』のフォロワーであるのに、あのブラックコメディとしての完成度から一体何を学んだのだろう。オチは特撮ファンなら秒で分かる仕掛けでどう考えても二時間引っ張るネタではない。三十分単話が妥当なのにスタッフは本家を呼んできているからどういうモードで見ればいいのか困惑させられる。作りもの丸出しでも成り立つ世界観なのに。何よりこれを製作の不都合ではなく真面目に「面白い」と思っていそうなのが罪深い。今現在を反映させて非日常の風景を面白がらせる不謹慎さがあるのは見所。ならもっと真面目にやるべきだが。軍のゴツいバイクが無人の道路を緊急車両の警報を鳴らして通り過ぎるなどときめくカットはあるにも関わらず……題材は全く悪くないだけにこれで益々怪獣映画が不遇にされるとしたら酷い。
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