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モスキートのasukaのレビュー・感想・評価

モスキート(2020年製作の映画)
4.4
第一次世界大戦の話。
監督の祖父の実体験に基づく作品との補足に、ひぃ!と声が出た。


おじちゃんだけではなく17歳の少年も出兵していることにどきっとする。
序盤の舟橋、馬どもと呼ばれる黒人の扱いに気持ちが沈んだ。
この沈んだ気持ちを割と最後まで引きずるとは思いもしなかった。


人間にとって怖い存在なのは、きっと人間。
目の前にいる人をよく理解もせず、まともに話もせずに悪と認めたくはない。
言葉が通じなくても、お互いに理解し合おうとすれば何か変化が起きるかもしれない。
しかし、戦争中はそんなことを言ってられないの?
戦争に人生を翻弄された人は数え切れないほどいるし、17歳のザカリアスもきっとその1人。


女性や子どもにとって成人男性の存在は、あんな状況なら尚更脅威を感じる存在だろう。
そして黒人にとって白人の存在も多くの場合、脅威の存在になり得るだろう。
戦地においては敵陣に1人でいる場合、周りの人みんなが脅威の存在。

本編の至る所に、そんな脅威や恐怖を感じる場面やシチュエーションがあり、観ていて何度ももう辞めたいと思った。
戦争は本当に何も生み出さない。
目を逸らしたいが、知っておかなければならない過去だと思う。


第12回京都ヒストリカ国際映画祭 オンラインにて鑑賞。
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