映像職人の堤幸彦監督が、俳優職人の堤真一と、「堤ライン」でタッグを組んだ作品。原作は雫井脩介氏の同名小説で、さすが強力な堤ラインで、手堅いサスペンスドラマに仕上げている。自分の息子が殺人事件の犯人かもしれないという、建築士の父親役を演じる堤真一のシュアな演技が光る。少しコミカルな役柄も似合うが、こういう市井のどこにでもいるような人間を演じる時に、彼の真骨頂が現れるように思う。そんなところが俳優職人と表現した所以だ。物語に破綻もなく、鮮明な映像感覚で最後までフィニッシュさせる堤幸彦の技巧にも、変わりはない。
