九月

ドント・ルック・アップの九月のレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.8
不安と可笑しさが交互に押し寄せ、皮肉たっぷりで面白かった!独特な笑いと今時な要素が詰め込まれていて、最初から最後まで楽しめた。

天文学専攻の大学院生ケイトが新しい彗星を発見し、喜ばしい雰囲気で物語は始まる。しかし、どうやらその彗星、かなり巨大である上に地球に衝突する可能性が限りなく100%に近いらしい。ケイトの研究室の先生であるランドール・ミンディ博士の計算によると、およそ半年後には衝突し、地球上の全ての生命が消滅するとか。
と、ここまでは映画らしい設定なのだけれど、来たる終末をどう受け入れてその時に向けて何ができるのか、またどのような最後を迎えられるのか、考えることも多かった。

人類最大の衝撃と言える事実に気付き、すぐに行動に移そうとするふたりの学者たち。
NASAに連絡し、ふたりの計算や予測は正しいことが裏付けられ、オグルソープ博士の協力を得られることに。
この三人はすぐさまアメリカ政府にそのことを伝え指示を仰ごうとするも、なかなか真面目に取り合ってもらえず、焦りだけが募り時間は過ぎていくばかり。
地球滅亡に加えて大統領との面会を控え、極度の緊張状態が続き、どうにかなってしまいそうなディカプリオとジェニファー・ローレンスの演技が好きすぎる。

巨大彗星の衝突という一大事を、死んでしまっては元も子もないのに、政治やビジネスに利用しようとする権力者たち。一般人も、それよりも有名人のスキャンダルやゴシップの方が気になる様子。確かに、そんなこと突然知らされても俄には信じ難いだろうし、平和で何よりなものの自分も相当平和ボケしていることに気が付く。
SNSでは様々な情報や憶測が飛び交い、今の時代ならではだった。何か大きなニュースにこじつけて、これは陰謀論なのではないか、とか言う人っているよなぁ…
目の前のことや自分の身の周りで起きていることよりも、スマホが大事な人も。

大発見をしてしまった学者たちと世間とのギャップに見ているこちらはやきもきしながら、風刺が効いていてなかなかに痛快。でも、もし自分が直面したら…?を想像して背筋が凍り、最後まで見届けて何とも言えない気持ちになった。(コメント欄にて※ネタバレ注意)
その時が来るならば、我先にと逃げるのではなくて、ミンディ博士やケイトたちのような迎え方をしたいもの。

Netflixの配信を待つつもりだったのに、レオ様とティモシーをスクリーンで!と急に思い立って観に行ったけど、なかなか長かったから映画館で観て正解だったかもしれない。いや、映画館で観られて良かった!でも、また観たくなっているので配信されるのが楽しみ。
九月

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