ミーハー女子大生

ドント・ルック・アップのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.0
社会の断絶と「伝わらない」もどかしさ。

SNSが流行してからというもの、見た目や性的指向、宗教、障碍、政治的信条など、いろんなところで嫌がらせや差別が横行してきました。
時には、科学的な知見であってもそれらを無視し、途方もない陰謀論が横行したりもします。

特にアメリカ。
トランプ政権になってから顕著にネット差別や格差の増大がみられ、社会の断絶が進んでいるような印象ですが、どうなんでしょう。
こうした差別や嫌がらせ、いじめが横行してしまう一方で、SDG’sの時代、多様性尊重の時代でもあるわけで、相反する事態が今の世界を表しているように思えます。

この作品は、さえない天文学者(ディカプリオ)と教え子(ジェニファー・ローレンス)が偶然に発見した彗星が地球に衝突する危機を察知し世界中に伝えようと奔走しますが、その事実をまともに受け入れないアメリカ政府やマスコミ、そして社会をブラックジョークのように描いてゆきます。
「バイス」や「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ監督だけに徹底的にシニカルでオチもなかなかのものです。

さきほどトランプ政権になってからと書きましたが、「伝わらない」「伝えられない」というこのもどかしさは実際いつごろから起きたのでしょうね。
ネットの幕開け、21世紀になってからのことなんでしょうか。

でも、じつはもともと家族や友人ならともかく、社会環境の異なる人と人の会話ではこれまでだって伝わらなかったのかもしれません。
会話では聞き流せることが、文字として視認できることで、感応しやすくなっているのかもしれません。
 
そして社会の断絶。
これももどかしいのです。そしてイヤな感じなのです。
なぜ、ここまでして対立するんでしょう。
事実なのに、現実なのに、政治的肯定や政治的否定のようなことが起きるんでしょう。
アメリカ社会だけではありません。
米中もそうですし、アメリカロシアもそう。日中もうまくいっているとは思えません。
世界中混乱しているとしか思えません。
日本社会でもこうした傾向が強まっているわけですから、のんびりとしていられません。

ディカプリオとジェニファー・ローレンスの他にも、大統領役ではメリル・ストリープ、テレビ司会者役でケイト・ブランシェット、そのほかジョナ・ヒル、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデなど、錚々たる人々が出演しています。
Netfrixでなければ作れないかもしれませんね。

ストーリー 4
演出 4
音楽 4
印象 4
独創性 4
関心度 4
総合 4.0