ドント・ルックアップ
面白い。ブラックな政治的デザスターコメディ映画。傑作!
天文学者レオナルド・デュカプリオとその教え子ジェニファー・ローレンスが彗星の地球衝突を予測してしまう。緊急事態!とNASA経由で大統領メリル・ストリープに進言するが、彼女は全く聞き入れない。「そんな事言ったら国民が怖がるでしょ」と。
話題になったので職場の人達にも勧めた。
「こんな事、起きそうで怖い」「いくな何でもこんなにバカな大統領いない」とか感想を聞いた。
この映画の恐ろしいのは“こうなりそうな未来“を描いてるのではなく“こうなった(若しくは現在進行形)の現実”を描いてることだ。
我々は彗星衝突の危機には直面してないが、温暖化、コロナ感染爆発の危機には直面している。そして、本作で正気を疑うような愚かな発言のほとんどが元ネタが存在するのだ。
彗星がぶつかるなんて学者が危機を煽ってるだけ、そもそも彗星自体が存在するのか、彗星を破壊するのではなく有効活用できないか?
彗星を温暖化、コロナに置き換えてみよう。世界で多くの人達が似た事を言ってるはずだ。
特にバカ過ぎて醜悪な大統領メリル・ストリープの発言の中身はトランプ、見た目はサラ・ペイリンがモデルなのは一目瞭然だ。大統領補佐官のジョナ・ヒル(むかつくバカ専門役者!)はトランプの歴代報道官の発言が元ネタだろう。
今回のコロナ危機を予見した映画で『コンテイジョン』がある。徹底したリアルさで新型インフルエンザ感染の恐怖を描いた傑作だが、もうリアルではない。我々は映画のように自分達が賢くないことを知ってるからだ。
寧ろ、真に先見的でリアルだったのは『26世紀青年』(原題idiocracy)※という絶望感。
※知識層が晩婚少子化、非知識層がばんばん子供を産み続けた結果、未来はバカに支配されていたというブラックコメディ。
『コンテイジョン』と同じ理由で『シン・ゴジラ』もリアルではなくなり陳腐化した。我々の社会は恐ろしく間抜けで修正がきかない。ブレーキの壊れたダンプカーで走り続けていることに気づかされる傑作『ドント・ルックアップ』。タイトルの意味が分かるシーンはぞっとしますね。本当に怖い。