終戦後の日本にゴジラが現れるという粗筋を聞いて、てっきりマッカーサー対ゴジラだ！とか思ってたが違った。神木隆之介対ゴジラでした！
あらゆる点で『シン・ゴジラ』の真逆をやってる。ポリティカルな面は不自然な程に距離を置き、市井の人々がゴジラに立ち向かう姿を描く。
出色なのが神木隆之介。特攻が怖くて機の故障と嘘をつき、自身の取り返しのつかないミスで仲間を全滅させた男。死に場所をずーっと探してるので、戦後見つけた幸せをつかむことが出来ない。ほぼランボーと一緒！
山崎貴監督なので、台詞で全部説明しちゃうし演出もオーバーアクト多めだ。佐々木蔵之介はやりすぎでコントみたいだったし、安藤サクラでさえつまらん役だった。そんなダメなドラマパートを一人でぶっ飛ばす神木隆之介。
PTSDを負った男の演技が凄い。時々吃音になったりして現実に向き合えない演技！パンフ読んだら自分を追い込むために自分のスマホに自分で「お前は生きていていい人間なのか？」とメールしてたそうな。ヒース・レジャーになりかねない危険な演技！やめれ！
クライマックスの死闘は素晴らしい、ちと泣いた。ベタにベタを重ねてとんでもない効果を出した感じ。
ゴジラ映画は当たり前だがゴジラが主役なので人間は刺身のつまみたいなもん。しかし、本作は間違いなく神木隆之介が主人公でゴジラは彼の人生を乗り越える障害に過ぎない。ここまで人間パートに寄ったゴジラ映画も珍しい。
また『永遠の０』に対するアンサー映画でもある。共に特攻が重要なファクターになってるが、結論は真逆だ。できたら『永遠の０』『アルキメデスの大戦』『ゴジラ-1.0』の順で観て欲しい。山崎貴の戦争観が変わってると分かるはずだ。
