香港アクション映画を支えたスタントマンのドキュメンタリー映画。
京劇から映画への移行
ショウブラザーズ→ゴールデンハーベストの栄枯盛衰
と語られていく。香港アクション映画はメジャーなものしか知らないが、余りの過激さに目を覆う。
スタントマンは監督ごとに囲われ(サモハン組とか)、監督の言うことは絶対でNOという選択肢はない。
5階ビルから飛び降りろと指示された30代スタントマンな泣きながらYESと言ったよと笑いながら証言すんのよ!
実際の映像も凄くて3階立てのビルの屋上から対面のスケートリンクに背中から落ちるシーンあるのよ。ワンカットで!
は
死ぬかと思ったと言ってたけど、何で死なないの?
ハリウッド映画のようなCG技術はないからね。俺たちは身体張るしかないのさ。
と呟くスタントマン。
本作に登場するスタントマンは運良く生き残った人達だ。「失敗して半身不随になったやつもいるよ」と答えていたが、本当なら彼等に証言させるべきだろう。映画の意味合いが全く変わってしまうが。
『七小福』という映画がある。サモハン、ジャッキー、ユンピョウを産んだ京劇学校が廃れ映画に移行するまでの青春映画だ。
京劇の先生(サモハン)は京劇に未来がないと知りつつ最後までしがみつき京劇を諦めていく。
皮肉にも『七小福』と同じことが香港アクション映画で起きている。
ここまで危険、過激、安全性、補償ガン無視の世界が続くわけもなくショウブラザーズもゴールデンハーベストもなくなっていく。
後進の育成も考えずデスウィッシュなスタントを連発してれば先細りも当然だ。生き残ったスタントマンも稼いだ金をギャンブルに使い貯金のない人達ばかり。観ていて本当に切なくなる。
本作のサブテキストとして『七小福』『鉄拳とジャンプキック カンフー映画の舞台裏』をおすすめしておく。