柊

ブックセラーズの柊のレビュー・感想・評価

ブックセラーズ(2019年製作の映画)
3.4
本が好きな人は見て損は無いと思う。でもそうで無い人にとっては苦痛な時間かもしれない。好きな人でも途中ちょっと眠気に襲われたりもする。だから映画としてはそんなに面白くはない。

私は本が好きだ。私もこれまで買った本はほぼほぼ捨ててない。なので自宅の一室は…
本を捨てるとこれまでの自分の成り立ちを捨て去るようで、未練がましいのかもしれないが捨てられない。だから単行本で購入する作家を決めている。それ以外はとにかく文庫を待つ。

希少本と言うジャンルがあるように、今ではそれらを扱うデューラーが絶滅危惧種になっている。きっと本は残る。でもデューラーはいずれ消えていくんだろうなぁ。寂しい。作品観ながらふと思ったこと。日本に限った話だけど、明治になって士農工商が廃止され、蛙の子は蛙にならなくても良くなった。もちろん職業は自由に越したことはない。
でも家業というか親の職業を継いでいく事がもっと残っていれば、今廃れようとしている職業は存続していける道も残っていたのではないかって頭に浮かんできて離れなかった。この世の中に無くなっても良い職業なんて無い…のではないだろうか?
一度廃れたものを復活させるのはどんなことよりも難しい。

それにしても、最後の方にお仲間が集まってテーブルを囲むシーン、とても楽しそう。細かい事なんて気にしないで、今この時を自分の職業を楽しんでいるのが伝わってきた。いいなぁ。すごくいい!
電子媒体を後生大事にとっておく人、それらを後々も利用することは確かに無い。でも本はその本がある限り誰ががページをめくるだろう。
永遠の宝だ。

最後エンドロールが終わった後にトドメのワンシーン。映画は明かりがつくまで席にいるべきと言う醍醐味が隠されています。見逃した人残念。この作品の一番の笑いどころだったと思う。
柊