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アイヌモシリの440のレビュー・感想・評価

アイヌモシリ(2020年製作の映画)
4.1
アイヌの伝統を
今も守り続ける土地

時代とともに無くなっていく風習。
時代とともに使われなくなっていく言語。
時代とともに変わっていく生活。

観光地として客を喜ばせるためにやらざるおえないアイヌらしい演出。
しかし、現代では受け入れられない風習には反対意見が出るという矛盾。

冷めた地元の子供達。
外部からの出入りが少ない土地らしい、変化に難色を示す住民。
アイヌらしさを求める外部の人。

色々な意見とさまざまな感情が交錯するドキュメンタリーのような作品で、観ていてあらゆる方向に感情が引っ張られた。

仕事の関係で色々な土地に住んできたが、どの土地でもどこか馴染めない「よそ者」という寂しさを感じる時がある。
もしかしたらその土地で生まれ育った人にしか分からないものがあるんじゃないか。

主人公カントの目で見た阿寒湖、森、街並、人々。
思春期のカントが母親や叔父に反発する様も描かれているが「自分は大人たちとは違う→理解したくない」という思いを強く感じた。
そこにはやっぱりその土地で生まれ育った人だからこその葛藤を感じる。

でもその土地で生まれ育ったというのはその土地の事を深く知っているだけで人としては変わらない。
俺の「よそ者」発言はそういう風に自分が考えているだけで、自ら馴染めない方向に心を引っ張っているような気がしました。
なかなか上手く伝える事が出来ないレビューになってしまいました。
すみません。

カントも自分自身に素直になり、悔いのない人生を送ってほしいなぁ。
そんな気持ちになる素敵なエンディングでした。
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