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ヒットマンズ・レクイエムの440のレビュー・感想・評価

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)
4.3
皮肉たっぷりマクドナー監督作品。

これまたコリン・ファレルのアホ男っぷりとブレンダン・グリーソンの困惑する男っぷりは「イニシェリン島の精霊」と似た構図でマルチバースのような作品。

殺し屋レイは仕事でヘマをしてしまい、同僚のケンとベルギーの田舎町へ逃げる。
次の指令を待ち、2人で過ごしていたが依頼主からケンはとんでもない依頼を受けることになる。

今回も「なんでそうなるの?」展開からどんどん歯車が狂い始め、とんでもない結末に向かって突き進んでいきます。

中盤のボスから連絡が来るまではレイがアホ過ぎて失笑しちゃうんだけど「イニシェリン島」を観ていればコリン・ファレルの哀れさは次に繋がる大事な伏線だと我慢できちゃう。

そしたらやっぱり正解で、クライマックスの嫌味な演出なんかほんと絶妙すぎて「マクドナーやるなぁ」って思っちゃうよね。

今回もアホ役コリン・ファレルに振り回されっぱなしのブレンダン・グリーソン。
中盤の山場、公園でのエピソードからのケンの行動はとても人間臭くてまともなだけに彼の思うようにならない展開への落胆は観ていて相当デカい。

それにしてもこれを素直にコメディ作品として鑑賞できる人はいるんだろうか?
考えさせられる事も多く、人物描写の滑稽さが逆に切な過ぎてずっしり重い空気に包まれるこの結末。
独特の空気感はどことなくヨルゴス・ランティモス作品にも通ずるものを感じてしまう。

とは言え、脚本の完成度は一級品。
余韻と満足度はちょー高い作品なので「イニシェリン島の精霊」が好きな未見の方は必見の作品だと思います。

ほんと小人いじりとかデブいじりとか黒人いじりとか人が悪すぎるよマクドナー。
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