ハル

青くて痛くて脆いのハルのレビュー・感想・評価

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
3.5
あ~こういう作品だったのか。
鑑賞後に思い抱いた感想はこれ。

当時観た、うろ覚えな予告からするとミステリー的な雰囲気を感じていただけに意表を突かれた気持ち。

吉沢亮だからまだ何とか作品性を保てているけど、ルックス的に駄目な人がやったらただの恐怖感満載の怖いストーカー事件だよなぁとも感じた。

学生時代は多様な人間と触れ合う大切な時期だし、ある種大人になってからよりも一番ヒトと巡り会える時期。

特に日本における大学はその傾向が強く、そこで多くの変化を受け入れられないとこんな感じに歪んでいってしまうのかな。
自分を知ることの大切さが分かる。

今作の主人公は嫉妬と憧れ、猜疑心がゴチャまぜになって自分でも制御出来なくなった成れの果て。

大人になってからも順応出来ないタイプの人をたまに見かけるけれど、やはり社会の中で生きていくのは辛そうに見えることが多い。
そのため、他者の考えを尊重して、受け入れ、成長していく事は人間として社会で生きていく上では必須な要素だろう。
共感されない事の方がスタンダードであり、自分と他人は根本的に違うことを本質的に理解する事も重要。

劇中では早くから核心に迫り、本質が即座に見えてくるため、描きたいのは歪んだまま過ちを犯した人間の、天秤のように揺れ続ける内面、そしてそこからの成長な事が伺いしれた。

それと本筋とは別にもう一点。
本作、キャスト陣が凄く豪華。
主演の吉沢亮と杉咲花以外にも岡山天音や柄本佑、森七菜、松本穂香等、若手の有望株が沢山出演しているので、そういった面でも楽しめる要素が存在する。

「青くて痛くて脆い」はタイトルの通り、モラトリアムにおける人間の幼稚さと行動原理を掘り下げた作品となっており、心理描写がやや浅く感じる部分はあるけれど、人間関係の在り方について、今一度想いを巡らしたくなる様な純文学的な香り漂う作品。
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