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シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~のktyのレビュー・感想・評価

4.0
『サラの鍵』のクリスティーン・スコット・トーマスが英国陸軍の大佐の妻として、軍人の妻達の合唱団を結成し、団員のまとめ役を演じる。監督は『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ。

昨今、世の中には小さな正義が溢れていて、言葉尻を取って、遮断して人を追い詰める。脚光を浴びるのは常に追い詰められる人で、追い詰める大衆は匿名のもと安住している。

それに対して、大きな正義、すなわち国益に従事する軍人は脚光を浴びない。軍人の妻はなおさらだ。

本作は、戦地で旦那が不在の間の妻達の切ない心情と、歌を共に唱うことで励まし合い、希望を共有しようする強い姿勢を感じる。とりわけ彼女らの練習場で引きのカメラの端から光がそそぐシーンが印象に残る。

合唱団一人一人の個性的な人間像が、台詞や衣装、ヘアスタイル、まなざし、細やかな演技の差異で、それぞれが悩みを秘めていることを浮き彫りにする。

多くは30代から50代の女性。彼女らのひたむきさに共感する作品。

邦題はいまいち。原題通りの『軍人の妻達』でいい。

この邦題を見ると、日本には、軍人の妻達、それから大きな正義に日が当たるのをいやな人々がいるようだ。
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