[映画に短し宣伝に長し] 30点
イタリアで暮らす頑固な画家の母親をニューヨークの自宅に連れてこようと画策して帰省する娘。その過程で、実家に染み付いた幼少期の思い出が現実と陸続きで混ざっていく。昨年のカンヌでお披露目されたグァダニーノの新作はヴァレンティノの Pierpaolo Piccioli とコラボして製作された作品だが、2018年秋冬コレクションの宣伝としては冗長だし、アートかぶれの映画としては短すぎて何も言えていないという"帯に短し襷に長し"状態になっていた。思い出として唐突に目の前に現れるミア・ゴス演じる若き日の母親、一人三役で時間軸を惑わすカイル・マクラクラン、ジュリアン・ムーア演じる主人公の内面のように登場するキキ・レイン、その全員が薄く連携し合って親子の和解へと持ち込むが、やはり短いおかげで釈然としない。時間軸を歪曲させたのは脚本の薄さを誤魔化すためにしか見えない。
最終的に豪奢なドレスを身に纏った女性たちが、『サスペリア』や『ウィッチ』のようなサバスを繰り広げるシーンで幕を下ろす。全編これくらい宣伝に振り切れてくれるとコチラとしても納得できるんだが。