KnightsofOdessa

The Order(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Order(原題)(2024年製作の映画)
3.5
[レイシストのテロを止めろ!] 70点

2024年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ジャスティン・カーゼル長編七作目。1983年アイダホ州、家族関係に問題を抱えたFBI捜査官テリーは、家族関係を修復すべく、ほぼ仕事のないこの地へやって来た。しかし、着任早々近くにはリチャード・バトラー率いる白人至上主義コミュニティがあるなど、絶対に呑気に家族関係を修繕してる場合じゃない不穏な空気が漂っている。調査を進めていくと、どうやら白人至上主義集団の一部が武装革命を目論んでいるらしく云々という中々骨太なクライムサスペンスである。テリーは家族に何度か言及しているが、作中で一切登場しないのが潔くて良い。事件は実話を基にしており、彼らの行動は1970年に出版された『The Turner Diaries』というテロ指南本に準拠しており、この本は後の差別主義者によるテロ事件にも大きな影響を及ぼしているという。似た者同士の警察官と犯人とその邂逅、市街地での銃撃戦など『ヒート』等の犯罪映画を参考にしたシーンが多く見受けられる。終盤は『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』に似た闇の中の駆け引きという感じで、こちらも良かった。監督はこれまで犯罪者側の視点から事件を描くことが多かったが、それを止める側からの視点もキチンと描けるんだな。というか、『カード・カウンター』『Asphalt City』と本作品でタイ・シェリダンがだいたい似たような役やってるの面白いな。
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