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100日間生きたワニのぷらすしのネタバレレビュー・内容・結末

100日間生きたワニ(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

電通やら何やらで色んな騒動があったものの、作品自体に罪はない…と思うのでできるだけフラットな気持ちで見るようにした。
率直な感想としては、ネットでの評判とは異なり良い作品だと思った。

以下、ネタバレ含む詳細


Twitterでは、最終話が出るまでは「100日後に死ぬと言いつつ、実は死なない可能性もあるよな…」と思いながら読んでいたが、今回はストーリーの冒頭に最終話を持ってきたことによってワニの死が完全に確定した状態でのスタートとなる。
この作品を初めて見る人も、「映画版なら死なないかも…」と僅かに期待した人も、全ての人がこの作品はワニの死を前提としてその先を観ることになる。

そのためか、ワニが死ぬまでに過ごした何気ない日常の出来事一つ一つが、とてもかけがえのない大切なもののように思えた。
友達とワイワイ遊んで写真を撮るシーンなどの幸せそうな場面を見るたびに「でもワニくん死ぬんだよな…」と切ない気分になる。1%でも生存の可能性があるかどうかでこの辺の印象は大きく変わりそうなので、冒頭のくだりは効果があったのではないだろうか。

そしてついに100日目を迎えて終わりかと思いきや、なんと後日のストーリーが。ここからはTwitterでも描かれていないため、視聴者とネズミたちは同じ視点である。

カエルの登場。出会って間も無いにしてはやたらと距離が近いコミュニケーションをとってくる。ワニの死について何も知らないため、ネズミたちがやらなくなっていたバイクやゲームの話題も平気で振ってくる。この時のカエルはとても無神経で馴れ馴れしい奴に見えたし、ネズミも同じような気持ちだったと思う。
しかし、バイトちゃんに告白して振られたカエルがネズミに「バイクで友達を亡くしてしまった。だから、新しい場所で友達を作ろうと思い引っ越してきた」と泣きながら話した事によって、その印象は一変した。我々もまた、カエルの事を何も知らなかったのだ。

過去を話してくれたカエルに幾分か心を許したネズミは、過去にワニと日の出を見に行った場所にカエルを連れて行く。ワニがかつてネズミに見せた「6時のマネ!(口を大きく縦に開く)」を、ネズミがカエルにやって見せた事でワニとの思い出が蘇ったのか、それまで終始無表情だったネズミが笑いながら泣くシーンは、心にくるものがあった。

そして、100日目以降完全に止まっていたLINEグループが、ネズミがカエルを彼らに紹介するための「久しぶりに集まりませんか?」によって再び動き出した。カエルの存在が、ネズミたちがワニの死の悲しみを乗り越えるためのきっかけとなったのだった。カエルもまた同じだろう。モグラとイヌはご結婚おめでとう!

…と、こんな感じの内容と感想だった。
ストーリー以外については、ワニの告白が成功した事を直接表現せずに「ネズミがラーメンの卵をワニにあげる」事で表現したりと、見せ方が上手いと思うシーンもあり、とても面白かった。絵柄や雰囲気も原作をしっかり再現していたので、良かったと思う。
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