IMAO

リンダ リンダ リンダのIMAOのレビュー・感想・評価

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)
4.0
WOWOWでやっていて、久しぶりに観直しました。いや〜これもう16年も前の映画になるのか…この年に生まれた人たちが、この映画の登場人物たちに近い年齢になってるよ。そりゃ、俺も年取るわな^^

ある高校の文化祭前。軽音部の女子のバンドでギター担当の子が手に怪我をしてしまい、それがきっかけで仲違いが起きる。バンド解散の危機となるが、韓国からの留学生を無理に誘って再結成。なんとか文化祭最終日のライブに間に合わせようと練習するが…

プロットとして書き出してみるととてもシンプルに思えるし、実際「あ〜面白かった」と素直に観れてしまう映画なのだが、数年ぶりに観直してみると、様々な工夫と知恵が働いていることに気付かされた。
まずキャスティングが素晴らしい。どの程度アテ書きされたのかは不明だが、バンドメンバー4人のキャラの立たせ方が上手。例えばペ・ドゥナ演じる韓国人は、日本語がまだ巧く理解出来ない。なので、冒頭の方で香椎由宇が「ソンさん、バンドやらない?」と叫んで思わず「ハイ!」と反応してしまう。ああいうのって意外と思いつかない。(しかもあの位置関係!)
香椎由宇はバンド仲間と仲違いしている。前田亜季は同じクラスの男子に恋をしている。関根史織は兄弟が多く、団地暮らしで家事もこなす。そうしたキャラクターの性格と行動が全てうまく物語に貢献している。
会話になっているような、なっていない様な何気ないやりとりは、山下敦弘の真骨頂。女子4人がグダグダと深夜の学校の屋上で話している感じ、ああいうのはどうやって演出したのかちょっと分からないほど。
ラストはこうした物語の必然としてライブで終わるのだが、その盛り上げ方も丁寧。徹夜で練習してきたバンド4人が寝過ごしてしまい、ライブに遅刻しそうになる。まあそこは当然の展開だが、そこに香椎由宇がアホな夢を見たり、関根史織がベース忘れたり、前田亜季が告白し損ねたり、ペ・ドゥナが転んだり、いざライブ会場につくと歌が巧い先輩が歌っていて、ペ・ドゥナの緊張が絶頂に達する。そしてバンド全員裸足で歌い出す!と小技、大技が効いている。

そういえばこの映画の前に『子猫をお願い』という韓国映画があって(これも良作)そのDVD用の特典映像としてペ・ドゥナのインタビューを撮る仕事をしたことを思い出した。割とスッとぼけた役の多い彼女だが、実際に会ってみると背の高い綺麗な気さくなお姉さんでした。あれから16年、皆それぞれ違う人生を歩んでいる。そう思うと本当に映画って不思議である。
IMAO

IMAO