IMAO

プリシラのIMAOのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.0
出だしはとても面白い。特に女の子が男を好きになってゆく気持ちの描写は、やはりソフィア・コッポラならでは!という感じがする。映画というものは、登場人物の気持ちに感情移入出来るか出来ないかで、かなりこちらの印象も変わってくるけど、映画には「気持ち」は映らない。だからこそ、映画ならではのテクニックが必要なのだが、こういう「女の子の気持ち」みたいなのは、やはり男の監督にはなかなか難しい。でも『ヴァージン・スーサイズ』に始まり、女の子(「女性」ではなく、あえてこう言わせてもらいます)の気持ちばかりを描いてきたソフィア・コッポラは、やはり視点も目線もちょっと違う気がする。どこがどう違うのか?と言われるとそこは難しいんだけど^^
けれども、後半に行くにしたがって、ちょっとこの映画の表現は平坦に思えてきた。夫婦の諍いも、いきなりセレブの世界に投げ込まれたプリシラの気持ちも今ひとつ表面的に捉えているように思えた。それをわざとやっているのかどうか不明ですが。
ただ、相変わらず小道具とか衣装とか、そういうところのこだわりはものすごくて、美術、撮影含めて観ていて退屈はしないです。特に50年代後半から70年代にかけてのファッションの変化とか、彼女にしか出来ない贅沢をやっている。良い意味でも悪い意味でもカタログ的な映画で、そこも楽しいといえば楽しい。
あと、やはりこのプリシラを演じたケイリー・スピーニーの魅力。彼女が普通の女子高生からバービー人形になり、次第に普通の女になってゆく過程を描いた映画なので、やはり彼女の才能無くしてこの映画は成立しなかったのだろうな〜と思いました。
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