改名した三島こねこ

マグノリアの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
2.9
<概説>とある老人の死の床とは関係のないところで、老人とは関係のないだれかがまた苦悩する。彼等の悲嘆が予想もしないところで交錯したその顛末は。

群像劇はそもそも登場人物が雑多で、相当計画的に脚本を立てないと失敗しがち。ただ本作は厄介なことに、関係ない登場人物が同一人物になりえる要素が結構な数存在する。

ただぼんやりと見るには楽しいのかもしれないが、初見深読みしてしまうとひたすら疲れる。しかも実はまったく関係ない人物でしたというのが大半なものだから、ひどく肩透かしを食らった気分に。

これ自体は別にそんな減点要素ではないのだけれど、深読みしだすとせっかくのドラマパートの感情の読み取りが至難になる。というか頭に入ってこない。群像劇はチャプターが交互交互に来るので、自然な感情の織物ではなくて仕上げは観客がやれと大小や色がバラバラなツギハギを投げ渡されてくる気分に。

本作の各々の登場人物の明確な結合点はラストのみなのがこれまたツライ。なんとなく言いたいことはわかるにしても、三時間のラストに至るころには疲れ果てて頭を抱えている。
もうちょっとチャプター数を減らしてくれたらよかったのに。あとフランクが偽名使ってる設定だけでも削って欲しかった。あの設定がないだけでも無駄な深読みに体力を使わなくて済んだのに。

群像劇が好きな方々はとりあえず時系列の交錯とか、実は同一人物みたいな深読みはしないで見てください。真面目に見すぎるとよくないです。