FATMAX夜食のデブロード

オールド・ガードのFATMAX夜食のデブロードのレビュー・感想・評価

オールド・ガード(2020年製作の映画)
2.7
まず、今回は内容に対する感想が激烈薄いクセに説教臭いので、そういうのがイヤな方々はスルーして頂ければ幸いです。


この作品 原作アリとは知らなかったが、ミドルバジェットでは結構作り込み強め。
ファンタジー要素を組み込んだワンダーなアクション映画を今どきな演出でスマートに魅せている。

シンプルに楽しい部分は多い。
実際観ててクライマックスもアガるし劇場でやっても良いんじゃない?ってぐらいには思った。




ただ…それだけしっかり出来ているがゆえに、ポリコレ臭が噛み合わせ悪く貼り付けられている感じに見えたのが個人的にはノイズとなった。


ワシはそういう事を否定する意思は持ってないが、どっち向きであれ〈過激な思想/思考〉は否 というスタンスである…と前置きして言うが、


あの同性愛は唐突過ぎやせんかね?

しかもソレがクライマックスのアクションやキャラクター演出に活かされて行くならまだしも、そこまでウマくフィットしてるワケでもなくチョコッとメロドラマ差し込むだけってのは"いきなりスタート"のせいで余計に悪目立ちしてる気がするのだが。

原作は知らんが仮に原作もそういう設定なら、ソレこそ実写ならではの改変で上手く噛み合わせるぐらいして欲しいと思う。

もちろん映画という物に色々メッセージ性がある事は決して悪い事ではないし、ジャンルそのものがそれメインな物もある。

でもコレは根底がワンダーをプラスしたエンタメアクション映画。


『 楽しめてナンボだ。』


そこにこういうモノを組み込むならば上記の"根底"を崩して鑑賞してる人を現実に引き戻し思考させる様な演出は、世界観への没入に対する邪魔をしているのではないか?

それなりに出番のある脇役の書き込み不足なのかもしれない。その他にも手があるのでは?
ワシごときがそう思うのだから、プロならもっと上手く練り込んで欲しい。
そして「そういうのも良いじゃないか」と思わせるのがクレバーなやり方だと思う。


昨今ポリコレやリベラル/保守に限らずこのテの事は過激に意見の反する相手を叩く事でアイデンティティを主張する奴も多い。

そして、"そういう事に辟易してる人"も多いのだ。

そんな時代にこういうエンタメアクションですら露骨なやり方をされると正直言って疲れてしまう。


この作品、全体的には『良く出来ている』。

良く出来ているからこそ、ワシは電柱の張り紙の様にベタッと貼り付けただけみたいなあの演出で一気に現実に戻されてしまい、以降設定は上手に活かされず、ずっとソレがワシの内心に残ったまま心の底からワンダーに没入出来ずに映画は終わってしまった。
(唐突だからこそクライマックスでその2人ならではの共闘アクションでもあるのか?なんて思いながら追って結局見せられたのはメロドラマ数回だけ)

だからこそ反感喰らう可能性があるとは知りつつ、あえて《ノイズ》と書いた。


しつこく書くが、
『組み込むなら上手く練り込んで欲しい』
もしくは『最初からそういう方向性の作品/演出に振るべき』だろう。

(この場合"結果的に"だったのかもしれないが)唐突に現実へ引き戻す演出はむしろ印象悪くなる。


否定はしない。
しないが、やるなら『キチンとやれ』。


面白くないなら冷める事は無い。
暖まってないのだから。

面白いから"冷める"のだ。


色々な事が過剰で利己的な文句に晒される時代、映像作品の表現が難しくなって来ているのは察するが、故意であれ止むなくであれ このやり方、ワシは嫌いだ。


この件以外に文句はない。
むしろ この件以外は"ホメまくりたい"ぐらいである。
その部分が気にならない人にはオススメ出来るぐらいだと思う。

でもワシ個人の感想を聞かれれば 結論

『興醒めする映画』

と答えるだろう。

続編が決まったという話も聞こえた。
次回もこういうメッセージを入れるならば『しっかりと練り込んで』欲しい。