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デュー あの時の君とボクのkazataのレビュー・感想・評価

デュー あの時の君とボク(2019年製作の映画)
4.0
タイドラマ『Bad Romance』シリーズでお馴染みのMax&Tulコンビ主演の新ドラマ『Manner of Death』の放送が始まったばかりだけども、その演出を務めるチューキアット監督&脚本作をウォッチしたら……これが"トンデモぶっ飛び"映画でした!

1997年、田舎町の男子高校生のPobとDewは互いに友情以上の感情を持ち始めるんだけども、時代的にも家庭的にも同性愛者として生きることが困難だったために、結局二人は決別してしまう──2019年、結婚して教師として母校に戻ってきたPobは教え子の不良女子高生Lewに不思議と惹かれ始め、LewもまたPobのことが気になって仕方なくなってしまう……という物語。

前半はOhmくん主演のオーソドックスな"純情初恋BL"展開、後半は教師とJKの"禁断愛"展開が描かれるので一粒で二度おいしい作品と言えるかも。
(ちょいちょい!キャスト欄に主演のOhmくんが表記されてないじゃん!!)

デビュー作のタイドラマ『Make It Right』シリーズから始まって『He’s Coming to Me』や『The Shipper』といった変型設定BLドラマの主演を務めてきたOhmくんまたしても!って感じですが……とりあえず2021年のGMMTV製作の新ドラマ『Bad Buddy』で、満を持してBL童貞卒業のNanonくんの相手役としてはもう申し分ない存在なんで太鼓判を押せますね!(笑)
(二人は『Blacklist』ですでに共演してるし…)

『Bad Buddy』予告公式↓
https://youtu.be/44RULap1yNg


(以下、ネタバレせずに感想を言うのが困難なのでネタバレします↓)


(これまたタイではよくあるパターンだけど)"輪廻転生"によってDewの生まれ変わりがLewってことなんだけども、だったら「なんで性別入れ替えちゃったの?」と疑問が生じるわけで。教師と生徒間の恋愛はプラトニックとはいえ男女関係なくアウトなんだから、ストレートに男子高校生に生まれ変わった方がわかりやすくない?

……って思いながら見ていくと、最後にハッと気づかされるんです!
すでに同性愛を自覚しているPobは、Dew(Lew)と再会できたけど本当の意味では結ばれないわけです。つまり現在時制での二人は、互いの今の姿=リアルで向き合っているのではなく、過去のイメージを重ね合わせながらじゃないと通じ合えない状況になっちゃってるんですよね。

……だからこそ二人は心中せざるを得ない結末に至るんだと!
(で、この結末に対して視聴者からは当然のように批判が浴びせられるわけですが…)あえて「二人仲良く輪廻転生して次の世で再会して一緒になろうぜ」って言って自殺してハッピーエンドとなる映画を成立させようとしたチューキアット監督の変な心意気にシビレました!!
(仮にDewの生まれ変わりが男だったらそのまま結ばれちゃってもOKってことになるもんね…)

(自殺容認映画として批判したくなる気持ちもわかるけど……この結末に至るまでについて、物語的に一応は論理的な組み立てができていたと思うから、先日見たタイ映画『Present Perfect』と違って本作のことは擁護できるかな…)

そんなこんなで、
予想外の「まさか!?」な結末に驚かされたけど、そこに至るまでのネタ振りは意外と丁寧にちゃんとやってるから好感持てる映画でした!

……ん!?韓国映画『バンジージャンプする』(イ・ビョンホン主演)のリメイクだったのね。
(そっちも見たけどラスト含めて大筋はオリジナルと同じでした……でもヘテロ恋愛で始まった韓国版だと同性愛否定に思えてしまうから、BLをベースにしたタイ版の方が正しく思えるかな)
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