Garikuson

哀愁しんでれらのGarikusonのネタバレレビュー・内容・結末

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

しっかり者で愛情深く見えるが、幼少期に母に捨てられたトラウマにより自分であれ他人であれ母親に対して完璧を求め、自分の正義を押し付ける女、小春。開業医で金持ち、ビジュアルと人当たりと外面は良いが学歴主義で基本的に他人を徹底的に見下しているモラハラ男、大吾。天真爛漫に見えるが、自分が思い通りにならないと癇癪や虚言を繰り返し、人の思いや感情を踏み躙る女児、ひかり。

人間性に難のある女、男、子供。偶然に偶然が重なり、えらい結末を迎えてしまう。

いやー、嫌な話。。。

序盤の小春に降りかかる悲劇の連続は確かにあまりに気の毒。そこからの歯の浮くようなシンデレラストーリーはむしろ滑稽ですらあった。だからこそ中盤以降の気色の悪さが際立つのだが。

剥製壊しちゃって小春がひかりに鬼煽りされるシーン、これは小春じゃなくてもビンタ案件ですな。これは仕方ない。あんなウザいガキは確実に往復ビンタですよ。
ワタルくんも良い味出してたね。

あとこの作品、ミスリードがめちゃうまい。俺もてっきりひかりがクルミちゃんを突き落としたもんだと完全に思い込んでた。公式に違う、とハッキリ明言されており、ワタルくんが筆箱の仕返しに嘘をついた、と言うのが本当のところであるらしい。
その仕返しの嘘が起点で一気に家族全員のメンタルが崩壊し、結果あんな大惨事が起こってしまうとなるとやるせない。しかも一人の女の子からのお手紙で、完全にひかりの無実が確定するのもやるせない。わかってたら親父もオカンもあんなことしなかっただろうに。
というかそもそも現実的に、医者であり学校お付きのワクチン指定病院であるのを良いことに、インフルエンザワクチンを全部致死量のインスリンにすり替えて子供全員皆殺しなんてできるわけないんだが、それがシンデレラの名を冠する本作。これはあくまで、童話なんですな。

この監督、かしこい狗の人だったのか。
線路とご飯に恨みでもあるのだろうか。

ヒカリがクズになるの、ママ嫌だなぁ!と叫ぶ土屋太鳳の演技が大好き。完全にメンタル壊れてるから言葉を選んでない感じが最高。
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