成島出＝吉永小百合コンビの『ふしぎな岬の物語』は無残な出来であったが、本作は在宅医療という社会的問題を扱っていることもあって、見応えのある作品になった。
ただ、患者が同じように癌であったり、救うことが出来ないエピソードばかりで、ラストでいくら松坂桃李に希望を託しても、ハッピーエンドには程遠い。結局は在宅医療の医師が足りないという問題提起にとどまっている。
作る意義のある作品であるし、キャストもスタッフも良い仕事をしているだけに、結論が導き出せないテーマなので、物足りなさが残ると言うのは酷な気がする。
かつて東映が、年に1本、内田吐夢、今井正、田坂具隆らの「良心作」を放っていた頃に相当する作品に吉永小百合作品が成り得るか。次回作に期待したい。
