綾野剛さんにしびれます。
行き先の分からない少年、居場所と守るものを得た青年、手を伸ばすたび壊れていく中年、そして最期の選択とかつての仲間とただならぬ抱擁、孤独で寂しい一人の人間の栄枯盛衰と切なさを見事に演じています。見ごたえありました。
しかも綾野さんで締めくくらない最後の場面に驚き。切ない主人公だけでも十分なのにそうくるかと。綾野さんの演技に感嘆し、座って観ているだけなのに走りきったような感じで終わったかと思ったら、ほとんど親のことを知らない二人の最後の言葉少ない会話に泣かされるという、なんとも印象に残るラスト。
人はどこかに属していないと生きていけないのでしょうか。ヤクザを肯定するものではありませんが、人が属している受け皿を壊したあとの危うさを感じます。
受け皿を壊し、人は散り、時代が移っても、また人は集まり形をかえて似たようなことを繰り返すのです。
まだ知らないことがあるかもしれない。家族とあともう「少し」話してみたくなる作品でした。
(メモ)
市原さん磯村さんも素晴らしい
ジャケ写の12人が全て印象的