さりさり

ヤクザと家族 The Familyのさりさりのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.5
かつてのTVドラマ「Mother」で、当時まだ6歳だった “いたいけのない” 芦田愛菜ちゃんを、真っ黒いゴミ袋に入れ、ゴミ捨て場に捨てた鬼畜野郎の役を観てから、綾野剛のことが嫌いでした。(偏見です)

しかし本作で、綾野剛さんを見る目が変わりました。(急に “さん”付け)
前半部分はまだ先日観た『最後まで行く』の “とんでも顔芸” が頭に焼き付いていて、さほどのめり込めなかったのですが、物語が新たな方向に展開した後半から「もしかして綾野剛、すっごく良いかも!」と、急に見入ってしまったのです。
脚本のせいかなぁ。
それとも、ただ彼の役柄に同情しただけなのかなぁ。

とにかく、その時代時代で変わって行く主人公の状況や心情を、とても繊細に演じ分けていたと思います。
どちらかというとアッサリとした地味な顔立ちだと思うんですが、前半〜中盤〜後半と、明らかに表情が違いました。
特に目。
思えば「Mather」での鬼畜野郎の気持ち悪い目つきも、彼の演技力の賜物だったのでしょう。

綾野さんのことは褒めちぎりたいと思いますが、ちょっと残念だったのは舘ひろしです。
皆さん絶賛されてる方が多いのですが、私は何か違うなぁと思いました。
確かに味はありましたが、役柄のせいか “近所の優しいオッサン” にしか見えませんでした。
ヤクザの親分って、実際はもっともっと底しれぬ恐怖感を醸し出していると思うんですよ。
笑ってるけど目だけは笑ってないというか。
でも舘ひろしは目まで本当に優しくて、親分のオーラはなかった気がします。
一瞬、凄んでみせるシーンがありましたが、全然怖くなかったです。

対して、豊原功補のヤクザっぷりは見事でした。
超いやらしくて、ゾッとする怖さがありました。
上手いなぁと思いました。

レビューをどう書いていいのか難しい作品だったので、ダラダラと思うがままの事を書かせていただきました。
失礼しました。
さりさり

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