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海の上のピアニスト イタリア完全版のkapoのレビュー・感想・評価

3.8
ファンタジーとリアルの間で揺れる
優しい哲学なお話し。
ファンタジーなんだけど、
程よく酸味が効いていて
ちょっと複雑な味がするのがいい。
後追いでやってくる波の感じが、
シンプルで深い。
でもこれは音楽の素晴らしさが
主役の映画なんだろうな。

20年以上も前だし、
3時間程あるのに、
古さも長さも感じなかった。
素晴らしい。

限られた空間、限られた時間、
命には終わりがある、
なんて定義は当たり前なのに
分かってないわ、と分かる。

自由ってほんとうに
自分の心の中にあるんだな、
と思える素敵な映画だった。

かつて江戸時代までとかは、
一生のうちほぼ生まれた町から
出ずに、100人の人にも
会わなかった人がゴロゴロいて、
その人たちが不幸だったかどうか、
は幸福度はそんなに変わらないのではないか。
サピエンス全史によると、
原始時代より今の方が
幸福度が下がるかもしれない、
という記述がある。

というのを、ちょうど最近観て
この話とシンクロした。

あれもこれも、どこへあそこへ、
と果てしなく欲望が刺激される現代って
たしかに幸福かどうか、
ていうのは疑問。

地に足を付けるとか、腹を括るとか、
大袈裟に思ってたけど
運命を淡々と全うする事なのかも。

音と映像の関係って、
心と身体の関係みたい。
映画音響の世界へ、も見なあかんな。
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