凪

あのこは貴族の凪のネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

貴族みたいに本物のお嬢様と、自分の力で道を切り開いてきた正反対の女性が出会う。

普通だったら、絶対に出会わない2人が出会う…まさに二項対立。
プラスとマイナスが出会って0に収束する話。
私が好きなやつ。

出会う理由もいい。リアリティがあって。
同じ男が1つの起因になって彼女達が出会う。

なぜ正反対の女2人が1人の男がきっかけで出会うのか。それは、この男には表と裏の顔があるからだ、と私は感じた。別に悪いことじゃない。よくある話だと思う。

そして彼女達2人が喧嘩になるとか、そんな短絡的な話でないのもいい。「女の敵は女」と言い切ってしまう昔からの鉄板はもう通じない。まずまずそんなのはリアリティがないのだ。同性なら確かに対立もするが、同性ならではの共感もあるから。「男の敵は男」で「女の敵は女」なんてのは本質を見てないのだ。この作品はその間違いを犯していない所がまず好感を持てた。

これはめちゃめちゃ良すぎたので語らせてもらいます。私が今年見た映画の中で最も良かったのはトップガンとこれです。

ジャンルは全然違うけど、見て感じた気持ちの重さが同じくらいだったんでいいんです。

詳細は省くけど、私も、我が家は古代ローマかよってくらい代々引き継がれし家柄ってやつを大事にする家に生まれたので、幸一郎や華子の気持ちはよく分かった。

「生まれ」に縛られてるのは、華子も幸一郎も美紀も同じだなって思った。家柄とか環境だけじゃない、容姿とか能力とかいろいろ、みんな何かしら生まれながらに勝手に添付された物を抱えて生きている。それは望まない物がほとんどかもしれない。でもこの映画を見て、その中には自分が気づいていないだけで凄く価値のあるものも同時にあるんじゃないかと私は思いました。それに気づけるかどうか。それが、これから私が私の人生をどれだけ良くできるかを決めるんじゃないか。そう思いました。

あー生まれたからには幸せになりたい。
祖父の威風とかDNAなんて全部投げ捨てて生きてやりたい。

無理なら別に無理でもいいけど。
やってみるだけやってみたいわ。
凪