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あのこは貴族のENDOのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.2
一億総中流の幻想(今や懐かしき響きだ……)を終わらせる。日本に階級はある、可視化されないだけで。ただし明治維新以降、いまだかつて闘争はない。政治家になる男は意思を持たない、名家を存続させるための義務しかない。女はそれに従属するしかない。いまだ父権主義が温存、というより冷凍された冷たい世界。一人の男を巡り許婚と恋人は対峙する。安易に争いは起こらないのが新しい。それは2人をつなぐ石橋静河(境界にいる人)が社会の理不尽さを憎しみ合うことで消尽させる行為だとすぐに理解するからだ。むしろ互いの知られざる価値観を共有することで汎女性の連帯が起こる。水原・山下と門脇・石橋。既存の価値観に虐げられてきた女性たちの目覚め、そのオルタネイティブな提示。日本の未来は見通しが立たないけど、この視点こそ人間の未来を萌すものだと思います。いつになく政治的ですが。
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