Meg77

あのこは貴族のMeg77のネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

何か大事件が起こるわけでもないのにずっと目が離せなかった作品。
とても丁寧に作られているんだろうなと思う。映像も音楽も、初っ端の東京の風景から好きすぎた。通算3回みてしまった。

幸一郎のみきに対するセリフとか態度が、将来は考えてない男の態度すぎて辛い。自分を悪い奴だとは思っていない(見せたくない?)のに、ふとした言動で相手を軽く扱っていることが滲み出る。みきの「1番の友達だった」という言葉や、地元の名産品を渡すといった行動から見える彼女の矜持と現実の差がしんどくて辛い。

初っ端の華子の正月のシーンが割と実家に近くて笑ってしまった。もちろん会食レベルは全然違うが、お料理に対する反応とか、婿達の当たり障りない社会情勢トークとか見たことある光景すぎる笑。

幸一郎レベルの生活は全く知らないのでリアルなのかも分からないが、親族紹介のシーンの作法はこちらもドキドキしながら見ていた。

細かいところで背景を想像させる造りがとてもよかった。雨の中で華子が歩くシーンとか途中で買ったんだろうな、歩きたい夜もあるよね。

個人的には、離縁の申し出の時に華子の父母も一緒に頭を下げてくれているのが好き。結婚式の時にもお父さんがめちゃくちゃ嬉しそうに華子のこと見ているし、お姉ちゃんも糸くず取るためコロコロしたがるし、なんだかんだ末っ子は甘やかされている。
華子のことが可愛くて仕方ないんだろうなぁと思える描写一つ一つがくすぐったい。

最終的に友人のマネージャーという甘ったれた立場の仕事をしているのも良い。きっと彼女は一生今の階層を投げ打つことはしないけど、彼女なりに生きていくのだろうし、がんばれ!!と応援したくなる。
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