天豆てんまめ

イングリッシュ・ペイシェントの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

3.7
美しい砂漠を背景に、これぞイギリス映画といった端正できめ細かいラブストーリーだ。物語は第二次世界大戦末期、看護婦のハナ(ジュリエットビノシュがアカデミー助演女優賞)が大やけどで運ばれた患者を廃墟の修道院で看病することから始まる。やがて患者はなくしていた記憶を取り戻す。彼は伯爵で冒険家。これまた、レイフ・ファインズがぴったり。彼とある女性の悲劇的な愛が語られる。ヒロインはクリスティン・スコット・トーマス。「チャーチル」では首相夫人役でお老けになったなぁと感慨を覚えていたが、この作品の彼女は美しい。その話を聴いて心揺さぶられながらも、看護婦のハナも地雷処理のインド人中尉と恋に落ちていく。砂漠と恋愛というのは相性がいい。ロマンティシズムと悲劇性と官能性が広がっていく。ジョン・トールの情感溢れる映像美も美しい。悲劇性が強い作品ながら希望に向かっていくクライマックスが心に沁みる。