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青春の殺人者のおーたむのレビュー・感想・評価

青春の殺人者(1976年製作の映画)
3.8
70年代の作品の熱量って、こんななんですかね。
こんなエグいの、誰が好き好んで見るんだと思いつつ、結局興味をぐいぐいと絡めとられてしまいました。

思うようにいってほしいことは思い通りにならず、思うようにいくべきでないことが上手くいってしまう主人公の様子は、なんだかつらいですね。
特に、徐々に罪悪感を感じ始めた彼が、罪の告白も、自ら命を絶つことも失敗してしまうあたりには、親殺しの罪それ自体が、殺人者に安易に楽になることを許していないようにも見えたりして、考えてしまいました。
父親、母親の、極端な父性、母性を見てると、鬱屈した思いを溜め込む主人公に寄り添ってるようにも見えますが、状況から逃避しようとする子供っぽさには、突き放した視点が見てとれたりして、殺人者の心理に多様にアプローチしようとする作り手の姿勢が見えますね。
単に、刺激物だからクセになったというだけの作品ではないなと思いました。
まあ、しばらくは再視聴しなくていいですけど。
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